2022.01
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英語で日本酒を説明するための実用表現 (6) - よく聞かれる質問集
世界中で日本酒への関心が高まるにつれ、国内の酒販店や飲食店でも、海外から来たお客さんを相手にする機会が増えてきています。
このシリーズでは、私・木村咲貴が、アメリカ・サンフランシスコの酒販店「True Sake」の販売員として活動してきた経験をもとに、海外のお客さん相手に使える英会話をご紹介していきます。 英語が苦手な人にとっては簡単で、英語が得意な人にとっては実用的なポイントがつかめる内容にしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
最終回となる今回は、お店でよくお客さんから聞かれる質問を、回答例とともにご紹介していきます。
どれくらい保存がきくの?
海外から来たお客さんに限らず、日本酒についてよく聞かれる質問のひとつが賞味期限です。
・Does sake have an expiration date?
(日本酒に賞味期限はあるの?)
・How long does sake last after opening?
(日本酒は開けたあとどれくらいもつの?)
お客さんの中には、日本酒にデリケートなイメージを持ち、「開けたらすぐに飲み切らなければならない!」と思っている人も少なくありません。こちらの記事も参照のうえ、まずはお酒によって保存期間が異なるということを伝えてあげるとよいでしょう。
・It depends on each product.
(商品によって異なります)
・This sake is delicate. You should try to finish it within a week or so after opening.
(このお酒はデリケートなので、開栓後は1週間くらいで飲み切ったほうがいいですよ)
・This sake is relatively tough, so you don’t have to finish in a hurry.
(このお酒は比較的タフなので、急いで飲み切る必要はありません)
・You should keep it in the fridge after opening and finish it within a few days.
(開封後は冷蔵庫で保管し、数日以内に飲みきってください)
飲みごろはお酒によって異なるものですが、中にはしばらく置いてからおいしくなるものもあります。
・If you don't think it’s as tasty when you open it, keep it in the fridge.
(開けてすぐあまりおいしいと感じなかったら、冷蔵庫にしばらく置いてみてください)
・Like an unripe fruit, it may not be ready to drink yet.
(熟し切っていない果実のように、まだ飲みごろではない場合もあります)
・Taste it everyday until it gets better.
(おいしくなるまで毎日味見してみてください)
・Some sake get better and better after opening.
(開けた後どんどんおいしくなっていくお酒もあるんですよ)
どうしてこんなに値段の幅があるの?
昨今は高価格帯の日本酒が増えてきていますが、海外に輸出されたお酒は、値段が日本での売価の2〜3倍にもなるため、さらに値段の幅が広がります。
精米歩合の違いなどのスペックによって説明することもできますが、例えば純米大吟醸でも、30ドル程度で手に入るものから、数百・数千ドルするものまでさまざま。そのため、「このお酒とこのお酒はなぜこんなに値段が違うの? (Why are the prices so different?)」と訊かれることがよくあります。
・This sake is made from a kind of rare rice that isn’t produced very much.
(このお酒は、生産量の少ない珍しいお米を使っています)
・The brewery polished the rice to 18% for this sake.
(このお酒は18%まで精米されたお米で造られています)
・This is a limited edition sake made in small production.
(少量生産で造られる限定酒なんです)
・This sake is designed for special events with all the luxury elements, such as rare rice and careful handcrafting.
(特別な日のために希少なお米や丁寧な手仕事などあらゆる贅沢な要素を詰め込んで造られたお酒です)
このようにいろいろと言い回しはありますが、そもそも「なぜこのお酒はこの値段なのか?」をきちんと説明できるよう、一つひとつの取り扱い商品の背景をきちんと理解しておく必要があります。
添加物は入ってないの?
・Is sake preservative free?
(日本酒には保存料は添加されていませんか?)
まずはワインの酸化防止剤にsulfites(亜硫酸塩)が含まれていることを理解しておき、「Sake doesn’t contain any preservatives like sulfites.(日本酒は亜硫酸塩のような保存料を何も含んでいません)」と説明してあげると、相手を安心させてあげられるだけでなく、日本酒の優位性を示すことができます。
そのほかの添加物については、こちらの記事の内容を理解したうえで説明できるようになっておけば完璧です。
・It is legally prohibited to add sugar or acidulants to premium sake (tokutei meisho shu).
(特定名称酒と呼ばれるプレミアム日本酒に糖類や酸味料を加えることは法的に禁じられています)
・There is no requirement for labels because the amount is very small, but sometimes enzymes are added for quality reasons.
(ごく少量のため表示義務はありませんが、品質のために酵素材が加えられているケースもあります)
・The product without "junmai" has brewer’s alcohol added to it.
(「純米」とついていないお酒には醸造アルコールが添加されています)
醸造アルコールにつきまとう誤解に対する英語への回答は、このシリーズ第3回の記事で詳しく解説しているので、合わせてぜひご覧ください。
どうやって温めるの?
・The best way is hot bathing.
(最もおすすめの方法は湯燗です)
・Boil water in a pot, put the container filled with sake in it, and raise the temperature gradually.
(鍋の中にお湯を沸かし、お酒を入れた容器を浸けてゆっくり温度を上げていきます)
電子レンジで温めることもできますが、海外の電化製品は電力が900Wや1200Wなどと日本よりもずっと高いため、お湯で温めるほうが安心だということも伝えておくとよいでしょう。
・You can microwave it, but it’s difficult to control the temperature precisely.
(電子レンジで温めることもできますが、温度調節が難しいです)
・It may not taste good if it gets too hot or uneven.
(温まりすぎたり、ムラができたりと、おいしくできない可能性があります)
また、ほとんどの国では日本と同じく摂氏(℃)の温度が使われていますが、アメリカでは華氏(°F)が使われていることにも注意しなければなりません。計算方法は「°F=℃×1.8+32」ですが、その都度ネットで検索するのが正確で安全です。
・This sake tastes amazing when heated up to 140°F.
(こちらのお酒は60℃まで温めると抜群においしくなります)
よくあるQ&A
そのほか、店頭でよく訊かれる質問と、簡単な答え方を説明しておきます。状況に応じて自分なりにアレンジできるように準備しておきましょう。
[Q] How much alcohol is in sake?
(日本酒のアルコール度数はどれくらいですか?)
[A] The average is 15 to 16%. Some are lower and others are higher.
(平均は15〜16%です。より低いものもあれば、高いものもあります)
[Q] What is sake rice?
(酒米ってなんですか?)
[A] It is rice suitable for sake brewing and different from table rice.
(酒造りに適したお米で、食用米とは違います)
The grains are larger and the balance of nutrients is perfect for sake brewing.
(米粒がより大きく、酒造りに合う養分のバランスになっています)
[Q] What is yeast?
(酵母ってなんですか?)
[A] A microorganism that converts sugar into alcohol and carbon dioxide in the brewing of sake.
(酒造りの中で、糖分をアルコールと二酸化炭素に変える微生物です)
Each type of yeast produces a different taste and aroma.
(酵母によって生み出される味や香りが異なります)
[Q] What is SMV?
(SMV=日本酒度ってなんですか?)
[A] SMV is short for Sake Meter Value.
(Sake Meter Valueの略称です)
It is used as a measure of sweetness to roughly indicate the amount of sugar contained in sake.
(日本酒に含まれている糖の量を大まかに示すため、甘さの指標として使われます)
Negative means sweet and positive means dry.
(マイナスほど甘口で、プラスほど辛口とされています)
Actual sweetness is dependent on the balance with other tastes such as acidity and bitterness, so it is not always helpful.
(実際の甘みは酸味や苦味といったその他の味わいとのバランスで決まるため、必ずしも参考になるとは限りません)
まとめ
このシリーズでは、全6回にわたって酒販店・飲食店で使える英会話を解説してきました。なるべく実用的になるよう、難しい表現を抑え、覚えやすい言い回しをご紹介してきたつもりですが、いかがでしたか? わたしがアメリカのサンフランシスコで実際に使っていた説明なので、少しはお役に立てていただけるのではないかと思っています。
正しい知識を身につけ、伝えることはもちろん大切ですが、インプットよりもアウトプットはずっと難しいものです。まずは簡単な表現からアウトプットの練習を始め、慣れてきたらより細かい説明を付け加えるのがおすすめです。
英語が得意な人も、例え正しく説明することはできても、「相手に伝わる説明」を身につけるにはコツがいります。ぜひ、このシリーズの解説を通して、ポイントをつかんでいただければと思います。
言葉の壁を超えて日本酒の魅力を伝えられるように、これからも英語力と日本酒の表現方法を磨いていきましょう!
接客や英語学習に使えるカードができました!
第1回:「好みを聞く」はこちら
第2回:「味わいの表現」はこちら
第3回:「カテゴリごとの表現(吟醸・純米・本醸造など)」はこちら
第4回「カテゴリごとの表現(生酛・山廃、熟成酒など)」はこちら
第5回「カテゴリごとの表現(生酒・にごり酒)」はこちら
第6回「よく聞かれる質問」はこちら
第7回「インバウンド対応」はこちら
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