2019.04
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日本酒のアルコール度数はどれくらい?他のお酒と比べて高いの? - 平均的な度数や、度数が上がる理由、おすすめの飲み方を解説!
日本酒について、「アルコール度数が高い」「悪酔いしやすい」というイメージを持っている方も少なくないでしょう。実際、醸造酒という分類のなかでは日本酒は最も度数が高いとされています。
一方、近年では度数が低めの日本酒も増えているほか、悪酔いを避けるための飲み方の工夫もさまざまにあります。
この記事では、日本酒は他のお酒と比較した場合にどの程度のアルコール度数の強さなのか、日本酒のなかではどれぐらいの幅があり、どんな飲み方がおすすめなのか、また、日本酒のアルコール度数が高い理由についてご紹介します。
日本酒は醸造酒の中で一番アルコール度数が強い
日本酒のアルコール度数
日本酒のアルコール度数は平均すると 15〜16% 程度です。ただし、「原酒」タイプのものは18%前後、あるいは20%以上のものもあるほか、後ほど見るように近年ではアルコール度数13-14%、あるいは10%未満といった低アルコールタイプの日本酒も増えてきています。日本酒はほかの醸造酒に比べて、アルコール度数の幅が広い、と言うこともできるかもしれません。
また、「日本酒(清酒)」はアルコール度数が22%未満でなければならないと酒税法に定められています。そのため日本酒と全く同じ製法であっても、アルコール度数が22%を超えてしまうと「その他の醸造酒」「リキュール」など他のお酒に分類されてしまいます。
ほかのお酒と日本酒のアルコール度数比較
以下の表は、日本酒、ビール、ワイン、ウィスキーなど色々なお酒のアルコール度数を示しています。
ウィスキーやウォッカなどの蒸留酒と、日本酒やビール、ワインなどの醸造酒をくらべると、蒸留酒の方がアルコール度数は高い傾向にあります。これは、蒸留することによってアルコールの純度を高めているためです。
お酒 | タイプ | アルコール度数(概算平均) |
---|---|---|
ビール | 醸造酒 | 5-6% |
ワイン | 醸造酒 | 12-14% |
日本酒 | 醸造酒 | 15-16% |
焼酎(乙類) | 蒸留酒 | 25% |
ウィスキー | 蒸留酒 | 40%以上 |
ジン | 蒸留酒 | 40%以上 |
ウォッカ | 蒸留酒 | 40%以上 |
日本酒は、ビール、ワインなど世界の醸造酒の中でアルコール度数が高いお酒とされています。
純アルコール量について
アルコール度数の高い日本酒ですが、飲み過ぎを防ぐためには飲む量に気をつける必要があります。アルコールの摂取量の基準に「お酒の1単位」と呼ばれる単位があります。これは純アルコール量に換算して20gの量を指しており、この量に換算することで他のお酒と比較したり、複数種類のお酒をあわせて飲んだときにも飲酒量が把握しやすくなります。
お酒の1単位をお酒の種類ごとに比べると、以下の表のようになります。
お酒 | アルコール度数(概算平均) | 1単位あたりの量 |
---|---|---|
ビール | 5-6% | 500ml(中びん/ロング缶1本) |
ワイン | 12-14% | 180ml(ワイングラス1.5杯) |
日本酒 | 15-16% | 180ml(1合) |
焼酎(乙類) | 25% | 110ml(ロックグラス1杯) |
ウィスキー | 40%以上 | 60ml(ダブル1杯) |
日本酒のアルコール度数はなぜ強いのか
なぜ日本酒のアルコール度数は醸造酒の中で高いのでしょうか。ここでは3つの要素に分けて解説します。
「並行複発酵」
日本酒の製造過程におけるアルコール発酵は「並行複発酵」と呼ばれる形式のもので、醸造酒のなかでも珍しいものです。
アルコールは、酵母が糖分を食べてアルコールを排出することで得られます(アルコール発酵)。日本酒はお米が原料ですが、お米は糖分を含んでいません。よって糖分を作るために、お米に「麹菌」をふりかけて、麹の酵素によってお米に含まれるデンプン質を糖分に変換するのです(糖化)。
「糖化」と「アルコール発酵」を一つのタンクの中で同時に行うことを並行複発酵といい、糖化によって得られた糖分を逐次アルコール発酵し、アルコール生成の効率が良いため、アルコール度数が高くなる傾向になります。使用する酵母にもよりますが、一連のアルコール発酵を完了するとおおよそ20%前後のアルコール度数になります。その後、多くの日本酒は香りや味わいを調整するために水を加えるため、結果として15-16%の日本酒が多くなります。
ワインのように、もともと糖分を多く含む原料のアルコール発酵は「単発酵」と呼ばれます。また、ビールのように、まずデンプンを酵素等によって糖化させ、その後にアルコール発酵を起こすものは「単行複発酵」と呼ばれます。
並行複発酵によるアルコール発酵は、日本酒のアルコール度数の高さの主な要因とされています。
酵母
日本酒づくりに使われる酵母は「清酒酵母」と呼ばれ、1900年頃から各地の酒蔵で採取・培養された、優れた発酵特性をもったものです。これらの清酒酵母は、他の酵母に比べてアルコール耐性が高いとされています。
通常、酵母はアルコール度数の高すぎる環境では生き残ることができないため、度数の上昇とともに発酵が鈍り、停止してしまいます。清酒酵母は選抜の結果、アルコール度数が高い環境でも発酵を続けることが分かっています。
このような清酒酵母の特性に加え、米や麹の成分の働きによって、酵母のアルコール耐性がさらに強くなったり、発酵しやすい環境が整えられることも分かっています。使われる原料の特性も、日本酒のアルコール度数の高さの要因の1つです。
アルコール添加
一部のお酒では、アルコール度数を高め、香りやキレを良くするために「醸造アルコール」と呼ばれる蒸留酒を発酵中の日本酒のもろみの中に加える製法をとっています。この製法をとる日本酒では、発酵で得られたアルコールに加え、添加されたアルコールも含まれることから、さらに高いアルコール度数のお酒を造りやすくなります。
「低アルコール日本酒」も普及し始めている
日本酒は醸造酒の中でアルコール度数が高いと述べましたが、強めのアルコール飲料を苦手とする方が一定数いることも事実です。そのような方々も日本酒を楽しめるように、「低アルコール日本酒」とも呼ばれる度数が低めのお酒の開発も進んでいます。
アルコール度数13-14%や、10%未満の日本酒
度数が低めの日本酒のなかでも特に多いのは、ワインと近い度数である13-14%のお酒です。すっきりと軽い飲み心地のものや、甘酸っぱくさわやかな味わいのものが多く、人気のジャンルになってきています。
最近では、ビール並の5%に近い度数のお酒も増えてきています。こうしたお酒には微発泡やスパークリングのもの、甘味がしっかり感じられるものも多く、それによってさらに飲みやすいものになっています。
酒ストリートの店舗では海外から来たお客様に日本酒を勧める機会も多いのですが、日本酒を飲み慣れていない方々の場合には、通常の日本酒よりも低アルコール日本酒を好む方が多いです。
度数の高い日本酒で悪酔いしないためには
日本酒はアルコール度数が15%程度と他の醸造酒と比べて高いですが、飲みやすい味わいのものも多いため、つい飲みすぎてしまったという経験はないでしょうか?飲酒量の把握以外にも、悪酔いを避けるための方法がいくつかありますので、それらをご紹介します。
なお、悪酔いしにくい飲み方についてはこちらの記事でも紹介していますので、もっと詳しく知りたい方はぜひご参照ください。
水をこまめに摂取(「和らぎ水」のすすめ)
日本酒を飲む際は、水をこまめに摂取しましょう。
水をこまめに取ることでお酒を口に運ぶリズムが緩やかになり、脱水症状(アルコールを分解するには水が必要)を防ぐなど、悪酔いを予防するのに効果的です。また、食事の合間に水を摂取することで、口の中がリセットされて日本酒の味わいを純粋に楽しむことができます。
ロックやカクテルで飲む
一時期は「淡麗辛口」の日本酒が流行していましたが、近年では甘味や酸味、旨味のしっかり感じられる日本酒も増えてきています。こうしたお酒は、ロックで味わっても美味しいものが多くあります。
また、簡単につくることができて、美味しく楽しめる日本酒カクテルもたくさんあります。
こうした方法で、度数を下げながら飲むことで、飲み過ぎを避けることもできるでしょう。
度数が低い日本酒を選ぶ
先ほどご紹介したような、度数が低めの日本酒を選ぶことも飲み過ぎを避けるためには有効です。アルコールの1単位で言うと、18度の原酒タイプと、13度の低アルコールタイプでは40mlほどの差が出ます。日本酒はアルコール度数の幅が広いだけに、自分の酒量に合ったタイプのものを選ぶことで、自分のペースでお酒を楽しみやすくなるでしょう。
まとめ
日本酒のアルコール度数やほかのお酒との比較、日本酒の度数が高くなる理由、日本酒のアルコール度数のバリエーションや、おすすめの飲み方についてご紹介しました。アルコール度数の幅が広いだけでなく、味わいや香りの幅も広く、さまざまな楽しみ方ができるのは日本酒の魅力の1つです。
飲み過ぎや悪酔いを避ける工夫をして、適量を心がけながら、いろいろな日本酒を楽しみながら、自分に合った一本を見つけてみましょう!
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