2022.01
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日本酒の「あらばしり」「中取り」「責め」は何を意味する?搾りのタイミングによる特徴を解説!
同じ銘柄の日本酒なのに「あらばしり」「中取り」「責め」と、違うラベルが貼ってあることがありますよね。どんな違いがあるのか、なぜそんな名称がついているのか、ちょっと気になりませんか?この記事では日本酒の製造方法に触れながら、ぞれぞれの特徴を解説します。
あらばしり、中取り、責めは搾り箇所の違い
3つの違いについて解説するために、まずは日本酒の製造過程について少し触れさせてください。 日本酒は米、米麹、水をもとに酵母の力で発酵させた醪 (もろみ) を搾って造られます。醪(もろみ)を搾る作業が上槽です。 上槽の過程で酒を分け取る場合があり、分け取ったタイミングによって「あらばしり」「中取り」「責め」と区別されます。 同じ醪でも、搾ったタイミングで香りや味わいが異なり、アルコール度数にもコンマ単位(例:0.2〜0.3度)で若干の差が出ます。ビールの「一番搾り」や「二番搾り」と同じ意味合いです。
上槽工程については、こちらの記事で詳しく解説しています。
あらばしり:搾り始めて最初にでてくる部分
あらばしり (荒走り) とは、上槽の過程で圧搾機の圧力をかけずに醪(もろみ)自身の重さで自然と流れ出たお酒のことです。伝統的な圧搾機「槽(ふね)」でもろみを搾る場合、袋に入ったもろみを積み重ねます。この際、もろみ同士の重さでほとばしるように出てくるものが「あらばしり」です。現在の機械を使った上槽でも同様に、圧力をかけずに搾られる最初の部分があらばしりになります。
もろみから一番初めに出てくる部分なので、もっともフレッシュで香り高く、もろみの荒々しさもしっかりと残ったインパクトのあるお酒です。色味は透明ではなく薄く濁っていて、アルコール度数は若干低め。また少量しか製造できないため希少価値が高いです。とくにあらばしりの生原酒は、かつては酒蔵の蔵人だけが知る特別なお酒でした。
中取り:中間層として出てくる部分
あらばしりのお酒が流れ出たあと、もろみを積んだ後圧搾機で適度に圧力を掛けて出てくるお酒が「中取り」です。一度の上槽で造られるお酒の過半数を占めています。 色味は透明で香味のバランスも良いため、日本酒の「もっとも良い部分」と言われています。酒質が安定している中取りの日本酒は、鑑評会などの出品用にも使われる部分です。 「中取り(なかどり)」の他に、中垂れ(なかだれ)」「中汲み(なかぐみ)」とも呼ばれます。
責め:強い圧をかける搾りの最後の部分
「責め」は、上槽の最後に強い圧力を加えて搾り切って出てくるお酒です。あらばしりとは反対にアルコール度数はやや高く、飲みごたえのあるお酒になります。雑味が出やすい反面、もろみに含まれる成分がしっかりと凝縮された味わい深さを楽しめます。
こんな方におすすめ!搾りの段階で変わる味わい
「あらばしり」をおすすめしたい方
フレッシュで香り高いお酒を楽しみたい方や、希少性の高いお酒を楽しみたい方におすすめです。一番最初に出てくるお酒なので少し不安定な味わいではありますが、一番搾りならではのフレッシュな香りと力強い味わいに魅了されます。
「中取り」をおすすめしたい方
中取りは、香りと味わいのバランスを楽しみたい方におすすめです。あらばしりの段階を経ているので酒質が落ち着き、バランスが取れた上質な日本酒を楽しめます。透明度が高く、見た目にも美しいお酒です。
「責め」をおすすめしたい方
濃厚な味わいを楽しみたい方、飲みごたえを感じたい方には、責めの日本酒がおすすめです。力をかけて搾り切るため雑味も多く含まれますが、複雑な味わいながら洗練されたキリッとした爽快感も楽しめます。
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