
2022.01
21
同じ銘柄の日本酒なのに「あらばしり」「中取り」「責め」と、違うラベルが貼ってあることがありますよね。どんな違いがあるのか、なぜそんな名称がついているのか、ちょっと気になりませんか?この記事では日本酒の製造方法に触れながら、ぞれぞれの特徴を解説します。
3つの違いについて解説するために、まずは 日本酒の製造過程について少し触れさせてください。 日本酒は米、米麹、水をもとに酵母の力で発酵させた醪 (もろみ) を搾って造られます。醪(もろみ)を搾る作業が上槽です。 上槽の過程で酒を分け取る場合があり、分け取ったタイミングによって「あらばしり」「中取り」「責め」と区別されます。 同じ醪でも、搾ったタイミングで香りや味わいが異なり、アルコール度数にもコンマ単位(例:0.2〜0.3度)で若干の差が出ます。ビールの「一番搾り」や「二番搾り」と同じ意味合いです。

上槽工程については、こちらの記事で詳しく解説しています。
あらばしり (荒走り) とは、上槽の過程で圧搾機の圧力をかけずに醪(もろみ)自身の重さで自然と流れ出たお酒のことです。伝統的な圧搾機「槽(ふね)」でもろみを搾る場合、袋に入ったもろみを積み重ねます。この際、もろみ同士の重さでほとばしるように出てくるものが「あらばしり」です。現在の機械を使った上槽でも同様に、圧力をかけずに搾られる最初の部分があらばしりになります。
もろみから一番初めに出てくる部分なので、もっともフレッシュで香り高く、もろみの荒々しさもしっかりと残ったインパクトのあるお酒です。色味は透明ではなく薄く濁っていて、アルコール度数は若干低め。また少量しか製造できないため希少価値が高いです。とくにあらばしりの生原酒は、かつては酒蔵の蔵人だけが知る特別なお酒でした。
あらばしりのお酒が流れ出たあと、もろみを積んだ後圧搾機で適度に圧力を掛けて出てくるお酒が「中取り」です。一度の上槽で造られるお酒の過半数を占めています。 色味は透明で香味のバランスも良いため、日本酒の「もっとも良い部分」と言われています。酒質が安定している中取りの日本酒は、鑑評会などの出品用にも使われる部分です。 「中取り(なかどり)」の他に、中垂れ(なかだれ)」「中汲み(なかぐみ)」とも呼ばれます。
「責め」は、上槽の最後に強い圧力を加えて搾り切って出てくるお酒です。あらばしりとは反対にアルコール度数はやや高く、飲みごたえのあるお酒になります。雑味が出やすい反面、もろみに含まれる成分がしっかりと凝縮された味わい深さを楽しめます。