2021.10
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日本酒には賞味期限がない?未開封・開封後の違いや品質の変化、保存方法を学ぶ
ほとんどの日本酒には、ラベルに賞味期限が記載されておらず、設定もされていません。日本酒は、アルコール飲料であるため、基本的には腐ってしまうことはなく、いつ飲んでも問題はありません。しかし、いつまでも搾りたての美味しさが味わえるわけではないのも事実です。この記事では、日本酒がいつまで美味しく楽しめるのか、品質の変化をどのように判断すればいいのかを解説します。
飲みごろの目安や「まだ飲める?」という判断基準、正しい保存方法、そのままでは飲みにくい場合のアレンジ方法まで、日本酒を長く美味しく楽しむための知識とテクニックが満載です。気になる項目をぜひチェックしてみてください!
日本酒に賞味期限はない!品質はどう変わる?
時間の経過による日本酒の品質の変化について解説していきます。
なぜ日本酒には賞味期限がないのか
農林水産省によると、賞味期限とは商品が未開封の状態で適切な保存をおこなった場合において「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」です。
すべての食品に賞味期限の表記が義務付けされているわけではなく、たとえば酒類やアイスクリーム類は品質が変化しにくいため、賞味期限の表示を省略できます。(食品表示基準第3条第3項)
日本酒だけでなく、ワインやウイスキー、焼酎などの酒類全般において、賞味期限表示の義務はありません。アルコールの殺菌作用によって長期間の保存が可能なためです。
日本酒のラベルに記載されている日付は、お酒を瓶に詰めた日である「製造年月」で、こちらは表示が義務づけられています。
製造年月についてはこちらの記事をご覧ください。
日本酒は腐らない!しかし味は変わる
未開封であれば日本酒が腐ることはありませんが、味わいや香りの変化は起こります。
賞味期限が「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」であるならば、矛盾しているようにも感じます。
この点については、安全に飲める期限である「消費期限」がない、という認識のほうが正しいかもしれません。
味わいや香りの新鮮さを重視する酒蔵では、独自に賞味期限を設定している場合もあります。その場合は、その期限にしたがって飲みきるようにするのがよいでしょう。
一方、品質が変化した結果、まろやかなコクが生まれたり味わい深くなったりと、より美味しくなる場合もあるんです。日本酒の場合、品質の変化は必ずしも劣化ではありません。
日本酒を10年、15年と貯蔵して、変化した色や香味を楽しむ長期熟成酒を商品化している酒蔵も多く、古酒・熟成酒を取り扱う専門店も存在します。
日本酒の品質変化を判断する方法
日本酒の品質変化は、においや色で判断可能です。日本酒は熟成が進むとナッツや醤油、味噌に近いにおいが出てきます。このような熟成酒特有の香りが感じられる場合、味わいは変化していてもおいしく飲める可能性があります。
しかし漬け物のような酸味のあるにおいや、バターや古い油のようなにおいがするものは要注意。そのままでは飲みにくい可能性が高く、飲めたとしても合わせる料理や温度など、飲み方に工夫が必要な変化が起きていると考えられます。
日本酒の色は、保存期間が長くなるにつれて徐々に黄色くなり、褐色に近い茶系の色合いにまで変化します。しかし色の変化が起きたからといって、劣化が起きているとは限りません。好みにもよりますが、濃い色のお酒でも美味しく飲める物も多くあります。色の濃さによる、味わいや飲み方の違いはこちらの記事で解説していますので、参考になさってください。
日本酒をおいしく飲める「保存期間」の目安
日本酒に賞味期限はありませんが、おいしく飲める保存期間の目安はあります。保存期間のスタート地点は、基本的に先ほど見た「製造年月」です。 日本酒に関する資格試験のうち、保管期限について具体的にテキストに記述している「WSET SAKE」の定義に基づいて、日本酒の保管期間の目安を種類別に解説します。
生酒は冷蔵で2〜3ヶ月
多くの生酒は未開栓で2〜3ヶ月たつとフレッシュさが失われてしまいます。生酒ならではの味わいを楽しむためには、最低でも6ヶ月以内に飲み切りましょう。開栓後の保存期限は明確に定義されていませんが、1週間以内が目安です。
火入れは10ヶ月
出荷される日本酒のほとんどを占める「火入れ(低温加熱殺菌済み)」された日本酒の保存期限は、未開栓で10ヶ月が目安です。
開栓後は吟醸系が1週間、それ以外は2週間ほど品質が保たれます。
ただし、次で紹介する「熟成酒」に成長するものなど、これより長い期間保管が可能な場合もあります。
熟成酒はいつまでも
熟成酒と呼ばれる、1年以上の熟成を経て販売されているお酒は上記のような保存期間の目安はありません。
さまざまな熟成酒を飲み比べて、時間経過による味わいの変化を判断できるようになれば、自分好みの熟成酒を育てられるようになりますよ。
参考:Wine & Spirit Education Trust編 "Understanding sake: Explaining style and quality - An accompaniment to WSET(R) Level3 Award in Sake" (2016)
日本酒の正しい保存方法
①日光に当てない
日本酒が劣化する一番の原因は日光です。日光に晒された日本酒は「日光臭」と呼ばれるにおいが発生します。日光臭は焦げ臭い不快なにおいで、劣化のサインです。たとえ短時間の日光でも品質に大きな影響を与えてしまいます。蛍光灯でも同様の現象が起きるため、冷暗所に置いたり、瓶に新聞紙を巻いたりなどして、光が当たらないようにしましょう。
②生酒は必ず冷蔵庫で保管
生酒は火入れをおこなわないため、お酒に含まれている酵素(こうそ)が生きています。温度によって香りや味わいが変化しやすいデリケートな状態ですので、未開封の状態でも必ず冷蔵で保存してください。新聞紙に包んでから冷蔵庫に入れると、開閉による温度変化が起きにくくなり、さらに効果的に品質をキープできます。
③火入れでも吟醸系、にごり、度数が低いものは冷蔵保管
火入れしてあっても吟醸系やにごり酒、アルコール度数の低い日本酒(14度以下)は、香りや酒質の変化が起こりやすい傾向があります。これらの日本酒は、なるべく冷蔵庫に入れて保管しましょう。
④なるべく立てて保管
ワインはコルクの乾燥を防ぐために、横にして保管するのが良いとされていますが、日本酒の場合は寝かせて保管するのはNGです。空気に触れる面積が広くなり、酸化が起こりやすくなってしまいます。ただし、常温で立てて保管するよりは、冷蔵庫に寝かせて保管する方が望ましいです。
品質が変わった日本酒を美味しく飲む3つの方法
品質が変わった日本酒が飲みにくいと感じても、すぐに捨てないでください!日本酒はそのまま飲む以外にもいろいろな楽しみ方があるんです。日本酒のアレンジ方法や使い道について紹介します。
①日本酒カクテルにアレンジする
リキュールや炭酸水を入れて混ぜるだけで、日本酒をカクテルにアレンジできます。一番簡単な「日本酒トニック」なら、日本酒とトニックウォーターを9:1で割るだけで完成です。トニックウォーターの炭酸と爽やかな香り、そしてほのかな甘みが、飲みにくかった日本酒を華麗に復活させてくれます。
さまざまなアレンジ方法を以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください!
関連記事①:買った日本酒が「美味しくなかった」ときに試してほしい5つのこと
関連記事②:自宅にある材料と道具で簡単に作れる! - 「日本酒カクテル」の作り方を学ぶ
②ちょっと贅沢に料理酒として使う
アレンジしても飲みにくいと感じた日本酒は、贅沢な料理酒として使いましょう。純米酒系の旨味が強めのお酒が料理酒向きです。一般的な料理酒には塩が加えられているため、レシピによっては塩加減を調整してお使いください。
ただし、もともと透明だったお酒が白く濁っている場合は、火落菌(ひおちきん)と呼ばれるアルコールに強い乳酸菌が混入し、酸味が強くなっている可能性があります。この場合は、かなり味も変化しているので、料理酒としても不向きです。
③お風呂に入れて美肌・デトックス
どうしても飲めない状態であれば、お風呂に入れて入浴剤として使いましょう。日本酒は、肌を保湿したり乾燥による小じわを防いだりする成分のアミノ酸が豊富なお酒です。さらに日本酒のアルコール成分が血流を促進し、血行が良くなって発汗がうながされるため、デトックス効果も期待できます。
ただし体温が上がり、のぼせやすくなっているのでお気をつけください。また、小さなお子様や妊娠中のご家族がいらっしゃる場合はやめておきましょう。
まとめ
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