2020.07
02
どうやって日本酒に詳しくなるの? - 正解はないけど、あえてまとめてみた
日本酒のことを知りたい、日本酒に詳しくなりたい!という声を聞くことはたまにありますが、じゃあどうやったら詳しくなれるの?という方法が説明されることはほとんどありません。
それもそのはず、「詳しくなる」道のりは本当に100人いれば100通りあると言ってもよく、さらに「詳しい」といっても
- たくさんの銘柄を飲んでいて、その味を知っている
- 一つの蔵や、ある県/地域の蔵について詳しい
- 製造工程や醸造にまつわる科学のことに詳しい
- 食事との相性など、飲み方に詳しい
などなど様々なタイプがあり、そこに至る道のりはそれぞれに異なっていて、正解はありません。
・・・とはいえ、そういう難しい話はいったん置いておいて、「日本酒美味しい!もっと知りたい!」とふと思った人が、「詳しくなる」ために試してみると良いことを解説してみます。この記事で紹介しているものを全てやる必要はありません。(筆者自身も、実はやっていないものがあります。)これならできそう、やってみたい、というところから読んで、始めていってみてください!
飲む!
最初から元も子もない感じの方法ですが、これだけは必須だと思います。筆者の知るかぎり、どんなタイプであれ「詳しい」人に、お酒をあまり飲んでいない人はいません。でも「楽しく飲むことが、詳しくなることに繋がる」と考えれば勇気も出てくるかもしれません(?)。
さすがにこの内容だけでは記事を開いてくださった方に怒られそうなので、飲みながら詳しくなれる方法を具体的に解説してみます。
飲食店で飲む
いろいろな種類のお酒を飲むのにもっとも身近な方法は、やはり飲食店さんでお酒を飲むことです。できれば一人か二人ぐらいの少人数で訪れて、店員さんともコミュニケーションを取りながら楽しむのがオススメです。お酒を提供してくれる店員さんから、味の特徴などお酒の説明を聞きながら飲めば新しい知識も得られ、自分だけで飲むよりも理解が深まります。(お店が忙しそうな時は、時間のかかりそうな質問は控えるなど、様子を見ながらコミュニケーションをとってみましょう!)
近年ではたくさんの銘柄を揃えていて、45mlや60ml、90mlなど少量ずつ飲めるお店も増えています。まずはそういったお店を探して行ってみるのが良いでしょう。「角打ち」と言って、酒屋さんの店内で立ち飲みができるお店もありますので、行ける範囲にそういったお店があれば、そちらもぜひ試してみてください。
イベントで飲む
新型コロナウイルスの影響で日本酒関係のイベントは残念ながら減ってしまっていますが、それでも色々なお酒を試す機会としてはとても貴重です。日常的に使える方法ではありませんが、参加できるタイミングがあればぜひ試しに参加してみてください。 「日本酒会」と言われると詳しい人が集まりそう、と思って参加をためらってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ多くのイベントは「これまで日本酒をあまり飲まなかった人にも、日本酒を楽しんでもらいたい」という意図で開催されているので、日本酒のことをよく知らなくても参加するととても喜ばれると思います。
イベントには、主に2つのタイプがあるのでそれぞれに分けて解説してみます。参加してみたくなったら、全国の日本酒イベント情報が集まる「日本酒カレンダー」などのサイトを使ってイベントを探してみると良いでしょう。
1.蔵元会
飲食店等で、酒蔵の方にも参加してもらって、その蔵のお酒を飲むイベントです。多くの場合2時間〜3時間程度かけて、料理とともに1つの酒蔵のいろいろな種類のお酒を、酒蔵の方の話を聞きながら飲むことができるので、ある蔵のことを深く知るのに最適です。最近では、オンラインで開催されているイベントも増えています。
2.試飲会
たくさんの酒蔵が集まって、「きき酒」的にいろいろな種類のお酒が飲めるイベントです。都道府県単位で酒蔵が集まる試飲会と、お祭り的なイベント形式での試飲会があります。1日でたくさんの種類のお酒の味を知るには、この形のイベントに参加してみるのが良いでしょう。
入場料を払うことで、当日出品されている酒蔵のお酒をどれでも飲むことができるイベント(都道府県単位の試飲会に多い)のほか、チケットやキャッシュオンで少しずつ色々なお酒が楽しめるイベント(お祭り的なイベント形式の試飲会に多い)があります。
酒屋さんで買って飲む
飲食店さんやイベントでお気に入りのお酒が見つかったら、酒屋さんで一度購入してみるのも良いでしょう。この方法では「少量ずつたくさんの種類を」ということは難しいですが、温度の変化や、買ってからの日数による変化、家で食べる食事との相性など、好きなように試すことができるのがメリットです。
記録する
飲むだけでなく、記録することで自分が好きなお酒のタイプが分かりやすくなったり、飲んだお酒の特徴を覚えやすくなったりします。そうは言っても、楽しく飲んでいる最中に記録するのは難しいですよね。そこで、(特に、気に入ったお酒の)写真だけは撮っておきましょう。これだけで、翌日目が覚めた後でも味の記憶が蘇りやすくなります。また、後日そのお酒が買いたくなった時にも写真があれば探しやすくなります。撮影の際のコツは、ボトル上部に肩ラベルが貼られている場合、その部分も映るようにすること。実は、メインのラベルだけでは商品が特定できない銘柄もあるのです。裏ラベルがあれば、そちらも撮影しておくとさらに良いでしょう。
写真とあわせて、銘柄名や特徴を記録しやすいアプリやサービスなどもいろいろな種類があるので、自分にあったものがないか試してみるのも良いかもしれません。InstagramやTwitterなど、使っているSNSに投稿してみるのも良いでしょう。伝わりやすいようにコメントを書くことで表現力も鍛えられますし、日本酒仲間ができるきっかけになるかもしれません。
読む!
日本酒を伝える文字メディアの一員として、「読む」という方法も推していきたいと思います。真面目に学ぶ書籍もありますが、楽しく読めるものもたくさんあります。まずはそういったものから、手に取ってみると良いでしょう。
雑誌で読む
食関係や、趣味関係の雑誌で日本酒特集が組まれることがあります。見かけたらぜひ手に取ってみてください。特に「dancyu」では毎年3月に日本酒特集号が刊行されています。
雑誌のメリットは「トレンドが理解できること」です。人気のある酒蔵や飲み方、飲食店の情報などが掲載されているので、次に飲むお酒や訪れるお店を探すのにも役立ってくれるでしょう。
書籍で読む
体系的に知識を身に付けたい、という場合は書籍を読んでみるのも、安価で効率の良い方法です。過去の記事で、オススメの書籍も紹介していますのでこちらもぜひ参考にしてみてください。
自宅でお酒のことを学ぼう!日本酒・お酒の書籍紹介 -「日本酒の基本」編
自宅でお酒のことを学ぼう!日本酒・お酒の書籍紹介 - 「日本酒の歴史・入門書」編
自宅でお酒のことを学ぼう!日本酒・お酒の書籍紹介 -「日本酒の造り手」編
WEBで読む
お酒・食関係のWebメディア等で日本酒のことが紹介されている記事や、日本酒専門のWebメディアも増えてきています。気になることを短時間で学べて、しかもほとんどの場合は無料で読めるのがこの方法の強みです。
SAKE Streetにも「日本酒を学ぶ」という特集がありますので、ぜひ目を通してみてください!
講座を受ける / 資格を取る!
本格的な学び方もご紹介しておきましょう。「日本酒教室」のような講座がカルチャースクールなどで開催されています。一般的な知識だけなら書籍で学ぶこともできますが、どうしても複雑で分かりにくいことも多い発酵や嗜好品の世界。講座なら分からないことを質問することができ、理解が深まりやすくなります。
それだけでなく、教材としてお酒を味わいながら説明を受けるスタイルのものも多いので、楽しく体験しながら学べること。日本酒に興味のある受講者同士で仲良くなって、日本酒仲間を作ることができることも大きなメリットです。
お近くのカルチャーセンター等で講座の募集がないか探してみるほか、習い事を探せるスキルシェアサービス「ストアカ」でも多くの日本酒講座が掲載されています。
東京を中心とした大都市では、アカデミー・デュ・ヴァンやFBOアカデミー、インフィニット・酒スクールなど、日本酒やお酒関係専門のスクールもあります。
講座の中には、資格取得を目指すものもあります。これまで学んできたことの証として、こうした資格を取ってみるのも良いでしょう。(白状すると、この記事で紹介している方法のうち、筆者は資格取得だけはしていません。でも、資格を入り口にして詳しくなっていった友人はたくさんいます!)
日本酒に関係する資格の例:
唎酒師
J.S.A SAKE DIPLOMA
WSET SAKE
働く!
もしこれを読んでいる方が学生や、副業等を自由にできる方なら、日本酒関係の仕事をしてみる、というのも良いでしょう。日本酒を多く扱う飲食店や酒販店でアルバイト等の求人が出ていることも多いです。最近ではWEB関係やライティング等の仕事の求人もあります。(SAKE Streetでライティングの仕事をしてみたい方、ぜひご連絡ください!)
日本酒に関わる時間が増えるだけで、身につくことは多くありますし、学んだことを説明したり、質問されたことを調べたりすることで、さらに知識が定着しやすくなります。
一番大事なこと
以上、「日本酒に詳しくなる」方法を説明してきたのですが、一番重要なのは「楽しむ!」ことです。「詳しくなりたい」と思う動機は、もちろん何でも良いと思うのですが多くの人が「知ることで、もっと日本酒を楽しみたい」ということだったのではないかと思います(少なくとも筆者はそうでした)。
知ることは手段であって、目的ではありません。美味しいお酒に初めて出会った時の楽しみを忘れないように、仲間も見つけながら学んでみてください!
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