どぶろく、にごり酒、おりがらみの違いとは? - 造り方、味わい、楽しみ方まで詳しく解説

2020.06

29

どぶろく、にごり酒、おりがらみの違いとは? - 造り方、味わい、楽しみ方まで詳しく解説

瀬良 万葉  |  日本酒を学ぶ

白くてとろりとした日本のお酒「どぶろく」。白く濁った見た目のお酒は、すべてどぶろくだと思っていませんか?

実は、どぶろくによく似たお酒に「にごり酒」や「おりがらみ」というものがあります。見た目は似ていても、これら3つのお酒は、それぞれ造り方が異なります。

この記事では、透明な清酒との違いを押さえながら、「どぶろく」「にごり酒」「おりがらみ」の定義や味わいの特徴をわかりやすく解説します。

一般的な清酒とにごりのある酒の違い

透明な清酒とにごりのある酒の大きな違いは、日本酒造りの仕上げの部分です。

もろみのイメージ画像
もろみのイメージ

日本酒造りでは、米・米麹・酵母・仕込み水をタンクに入れて発酵させ、「もろみ」と呼ばれるどろどろの状態をつくります。このもろみには、十分な発酵を経ても溶け切らなかった米や米麹などの固体成分が含まれています。

一般的な清酒では、こうした固体成分を取り除くために、「搾り」と「澱(おり)引き」という工程を行います。一方、にごりのある酒では、搾り方や澱引きの有無に違いがあるため、米や酵母などに由来する成分が残り、白く濁った見た目に仕上がります。

それでは、それぞれの工程を簡単に見ていきましょう。

搾り

発酵が終わったもろみに対して最初に行うのが、「搾り」という工程です。

搾りとは、もろみに残った固体成分(酒粕)をこし取って、液体(原酒)だけの状態にする作業のことです。搾りには、「酒袋」と呼ばれる布の袋にもろみを入れて搾るなど、いくつかの方法があります。

日本酒の味わいにも関与しているので、詳しく知りたい方はぜひ以下の記事をご覧ください。

澱引き

搾りの後に行う工程が「澱引き」です。

搾りが終わっても、お酒の中にはまだ「澱(おり)」と呼ばれる小さな固体成分が残っています。そこで、この澱を取り除く「澱引き」という作業をおこないます。

一般的には、搾りを経た酒を数日間静置して澱を沈殿させ、上澄みだけを取り出すことでより透明な清酒に仕上げます。

どぶろくとは?

搾らない

「どぶろく」とは、もろみをこさずにつくるお酒を意味します。つまり、先ほど解説した「搾り」の工程をおこなわずにつくるお酒ということです。

どぶろくは清酒じゃない?

にごりのあるお酒でも、ラベルに「清酒」と書かれているものを見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。

日本の法律では搾りの工程を経たものが「清酒」に分類されます。したがって、搾りを行わないどぶろくは清酒ではなく「その他の醸造酒」として扱われています。

どぶろくの味わい

どぶろくを「酒粕の成分がほぼすべて含まれているお酒」と考えると、その味わいもイメージしやすいでしょう。一般的にどぶろくは、米の持つ甘さや旨味を感じられる濃厚なお酒になることが多いです。

どぶろくは近年、その健康効果にも注目が集まっています。詳しく知りたい方はぜひこちらもご覧ください

にごり酒とは?

にごり、おりがらみ、スタンダードな清酒のイメージ画像

粗い目で搾る

「にごり酒」もどぶろくと同様に白濁した酒ですが、にごり酒は搾りの工程を経て造られる日本酒です。搾っているにも関わらず、できあがった酒がにごるのはなぜでしょうか?

その秘密は、もろみの搾り方(こし方)にあります。にごり酒は、透き通った清酒を造るときのように酒袋で搾るのではなく、ザルのような目の粗い網目を用いて「あらごし」して造られているのです。

にごり酒は清酒

先ほど、日本では搾りの工程を経なければ清酒とは認められないと述べました。酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(※)によると、搾り(つまり「こす」こと)は「その方法のいかんを問わず、酒類の醪を液状部分とかす部分とに分離するすべての行為」と定義されています。そのため、ザルのような粗い目で搾ったにごり酒も、清酒の一種として認められるのです。

(※)酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達 第2編 第3条 (共通事項)11

にごり酒の味わい

にごり酒もどぶろくのように、米本来のおいしさを感じられる濃厚なものが多いですが、にごり酒の場合、搾るときの目の粗さによっても味わいが大きく変わるのが特徴です。「ささにごり」や「うすにごり」のような比較的にごりの少ない酒の中には、甘みとフルーティーさを兼ね備えた爽やかなものもあります。また、火入れをしないにごり酒である「活性にごり」は、シュワシュワとした発泡感を楽しめる刺激的なお酒です。
活性にごりのイメージ画像
スパークリングワインのような発泡感があり、爽やかな飲み心地が人気の活性にごり

おりがらみとは?

澱引きをしない

「おりがらみ」は、澱引きをしない日本酒のことで、「かすみ酒」とも呼ばれます。搾りの工程まではスタンダードな清酒と同様に進みますが、ごく小さな澱はそのまま残すため、うっすら白く濁ります。搾り工程を経ているので、おりがらみも清酒の一種です。

おりがらみの味わい

おりがらみに残っている澱には、細かい米の破片や酵母などが含まれており、そこには旨味成分もたくさん存在しています。どぶろくやにごり酒に比べるとすっきりしているものが多いので、適度な旨味を楽しみたいときにぴったりです(にごり酒のうち「うすにごり」などの酒とおりがらみを比べると、にごり具合にはほとんど差がない、あるいはおりがらみでも、にごり酒に分類される酒よりにごっているものがある場合もあります)。

また、おりがらみには澱だけでなく炭酸ガスも残っているものが多いので、このようなタイプを選べば、澱に含まれる濃厚な香り・旨味と、ピチピチとした泡のフレッシュ感を同時に楽しめるでしょう。

おすすめのお酒や飲み方

搾り方や澱引きの有無の違いがある3種類のお酒。にごり特有のとろっとした舌触りやお米の芳醇な旨味などが楽しめる、おすすめのお酒をご紹介します。

おすすめのお酒

稲とアガベ DOBUROKU 01 - 稲とアガベ(秋田県)

稲とアガベ DOBUROKU 01

ヨーグルト調の酸い香りとお米を炊いたようなふっくら甘い香りのするどぶろくです。口に含むとしゅわっと爽やかなガス感、とろとろっとなめらかなテクスチャとお米のつぶつぶ感、ミルキーでなめらかな甘旨味の余韻が楽しめます。

不老泉 純米吟醸 活性にごり 生原酒 - 上原酒造(滋賀県)

不老泉 純米吟醸 活性にごり 生原酒

お米を炊いたような香りとミントのような清涼感。活性にごりのため、口に含むとしゅわしゅわとした元気な発泡感が楽しめます。甘さは控えめで、優しくお米の旨味が膨らんだ後は、心地よい酸味と共にシャープかつドライなフィニッシュを迎えます。

楽の世 山廃純米 おりがらみ 無濾過生原酒 - 丸井合名会社(愛知県)

楽の世 山廃純米 おりがらみ 無濾過生原酒

完熟パイナップルを思わせる芳醇な果実香や青くオイリーなニュアンスが魅力的なおりがらみです。濃醇なアタック感とやわらかい甘味、凝縮感のある酸の余韻。ピリリとしたアルコール感を伴いながら、シロッピーなニュアンスが広がります。飲みごたえのある分厚いボディ感と旨味の余韻が楽しいです。

一緒に楽しみたい食事

にごりのあるお酒のとろっとしたテクスチャーには、脂肪のまったりとしたコクがよく合います。

例えば、こってりとしたもつ煮込みや豚の角煮など、味の濃いものにはどぶろくやにごり酒を合わせると脂肪とお酒が溶けあってたまらない相性を発揮。また、からすみや煮卵など「たまごのコク」が感じられる料理には、うすにごりのほどよいとろみがよく合います。

もつ煮込み、豚の角煮、からすみ、煮卵
コクのある料理とよく合います

こんな飲み方も

まず、にごりのあるお酒ならではの飲み方として、「透明な上澄みと澱部分を別々に飲む方法」 と、「上澄みと澱をしっかり混ぜて飲む方法」の2種類の飲み方があります。

上澄みと澱を別々に飲む場合は、瓶を傾けないように立てたままゆっくり開栓し、上澄みの透明な部分のみをやさしく注ぎます。これにより上澄みのスッキリ透明感のある味わいと、澱の濃厚で複雑な味わいの二つを楽しむことができます。

上澄みと澱を混ぜて飲む場合は、瓶をゆっくり振り、底に沈んでいる澱が均一に混ざってから飲みます。この方法だと、クリーミーでやさしい口当たりや、にごり由来のボリューミーな味わいを楽しむことができます。

また、燗酒で飲むのもおすすめです。あたためることで旨味や酸味がぐっと引き立ち、冷やして飲むのとはまた違った味わいを楽しめます。さらに、口当たりもやわらかくなるので、料理との相性も抜群です。

このように、お酒単体で飲んでももちろんおいしい3種類のお酒ですが、澱由来の酸味や旨味が強く、とろっとボリュームのある飲み口であることが多いため、アレンジしても個性が失われにくいのも魅力です。ロックや炭酸割り、牛乳やヨーグルト割りなど、自分好みのアレンジレシピを探してみるのも楽しいですね。

まとめ

どぶろく、にごり酒、おりがらみの分類イメージ

透き通った見た目をしている一般的な清酒は、発酵のあとに搾りと澱引きを両方経て造られています。

一方、にごった見た目の酒は、さまざまな方法で造られています。どぶろくは搾らないで造る酒、にごり酒は粗い目で搾って造る酒、おりがらみは澱引きをせずに仕上げる酒です。

「にごりのある酒」と一口にいっても、それぞれ残っている固体成分の分量が異なるため、香りや味わいはさまざまです。造られた工程にも思いを馳せつつ、多種多様なおいしさを楽しみましょう。

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