唎酒師(ききさけし)とは? - 幅広い知識が学べる、知名度No.1の日本酒資格!

2022.05

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唎酒師(ききさけし)とは? - 幅広い知識が学べる、知名度No.1の日本酒資格!

酒スト編集部  |  日本酒を学ぶ

「唎酒師(ききさけし)」は日本酒に関する資格の中で、もっとも知名度が高いものです。「唎酒師がいる店」であることを売りにする飲食店もあるほか、日本酒をより深く楽しむための手段として一般の方の取得者も多い資格です。

この記事では唎酒師の資格取得を検討する方へ向けて、資格の概要や取得までの流れ、費用について解説します。

唎酒師の資格概要

唎酒師の資格制度を運営しているのは、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(略称SSI。以下、SSI)です。資格を取得するためには、同会のプログラムに参加したうえで、試験に合格しなければなりません。

唎酒師は、1991年に制定された日本酒販売・提供資格で、大きく分けて以下の4つのスキルが問われます。

①飲料全般・食品およびそれに関する基礎知識
日本や世界の食文化、酒税法、経営理論など、総合的かつ幅広い知識

②日本酒のテイスティング力
日本酒の香りや味わいを判断し、わかりやすく論理的に説明するスキル

③日本酒のサービス力
お客様をもてなす心構えや、求められているものを洞察して提供するスキル

④日本酒のセールスプロモーション提案力
季節の行事や気候に合った料理や酒器、お客様の好みに合う日本酒を提案するスキル

唎酒師は日本酒関連のサービス業に関わる方だけでなく、一般の方でも会食などのビジネスシーンで活用できる資格です。提供するシーンやお客様のニーズを的確にとらえて、マッチした日本酒を提案する方法について学べます。

海外需要に適した国際資格もある

「国際唎酒師」は、SSIの提携加盟団体であるSSIインターナショナルが認定する資格です。国際唎酒師の試験は、英語・中国語・韓国語・フランス語・スペイン語の5か国語で実施されます(※)。 2009年に新設された国際資格ですが、日本酒の海外での需要や、訪日外国人からの需要が高まるなかで、認定者が増えています。

(※)2021年4月より、日本国内で受験する場合は英語と中国語のみ。

唎酒師の取得方法と費用

唎酒師の受験資格は、申し込み時に満20歳以上であることです。また唎酒師の資格を取得するには、SSIが運営しているプログラムを受講する必要があります。プログラムには受講スタイルや受講期間・費用が異なる5つのコースがあります。コースによって多少変動しますが、取得には合計で約12万〜14万円程度の費用がかかります。

それぞれのコースの特徴と費用について解説します。

※2022年5月の情報です。申し込みの際には、SSIの公式サイトで最新の情報をご確認ください。

①スマホで手軽に学べる「eラーニングコース」

eラーニングコースはスマホやタブレット端末を使って手軽に学び、最短1ヶ月半での資格取得を目指します。1問5分から学べるので、まとまった時間が取れない方におすすめのコースです。課題に使用するお酒や教材などはすべて自宅に届き、試験から資格取得までのすべてがオンラインで完結します。

【受講料】68,800円(税込)
【申し込みから取得までの期間】1.5カ月〜5ヶ月(目安)

上記にくわえて合格時した場合は下記の費用がかかるため、総額は128,700円(税込)です。

【認定料】25,000円(税込)
【SSIへの入会金】19,000円(税込)
【SSIの年会費】15,900円(税込)

②自分のペースでじっくり学べる「通信プログラム」

eラーニングコースと同じく、時間や場所を選ばず学べるコースです。課題に使用するお酒や教材などはすべて自宅に届き、試験から資格取得までのすべてがリモートで完結します。オンラインの手軽さはありませんが、紙とペンでじっくり課題に向き合いたい方におすすめです。通信コース受講生は「1日通学コース」の講習会を、無料スクーリングとして利用できます。

【受講料】78,400円(税込)
【申し込みから取得までの期間】3カ月〜5ヶ月(目安)

上記にくわえて合格時した場合は下記の費用がかかるため、総額は138,300円(税込)です。

【認定料】25,000円(税込)
【SSIへの入会金】19,000円(税込)
【SSIの年会費】15,900円(税込)

③疑問を即解決してたっぷり学べる「1日通学コース」

8時30分から18時まで、1日かけて専任講師の直接指導が受けられるコースです。事前にお酒以外の教材が自宅に届くので、必要な箇所を学習してから受講します。東京か大阪の会場での受講がメインですが、自宅でのLIVE配信受講も可能です。その場合はお酒も自宅に届きます。

通学は1日ですが、試験日は選択できるので復習期間もたっぷり確保できます。ただし開催日程が限られていますので、しっかり確認したうえで申し込んでください。試験は在宅受験と会場受験が選択できますが、それぞれ費用が異なります。

【在宅受験の受講料】76,800円(税込)
【会場受験の受講料】58,800円(税込)
【申し込みから取得までの期間】2週間〜1ヶ月(目安)

上記にくわえて合格時した場合は下記の費用がかかるため、在宅受験の場合の総額は136,700円、会場受験の総額は118,700円(税込)です。

【認定料】25,000円(税込)
【SSIへの入会金】19,000円(税込)
【SSIの年会費】15,900円(税込)

④最短で唎酒師を取得する「2日間集中プログラム」

自宅で事前学習をしてから、会場で講習と試験を受けるコースです。最短2日間で完結するため、全コースでもっとも早く唎酒師の資格を取得できます。不合格になっても、補習や再試験をサポートする体制が整っているので安心です。万が一、2日間で合格できなかった場合は、別途指定される試験日に再受験できます。

【受講料】79,200円(税込)
【申し込みから取得までの期間】1週間〜1ヶ月(目安)

上記にくわえて合格時した場合は下記の費用がかかるため、総額は139,100円(税込)です。

【認定料】25,000円(税込)
【SSIへの入会金】19,000円(税込)
【SSIの年会費】15,900円(税込)

⑤動画でじっくり、自宅で学べる「オンデマンド受講コース」

会場でおこなわれる講義の動画を試聴して、自宅で受講できるコースです。受講期間であれば何度でも繰り返し視聴できます。動画とは別にテキストに沿って編集した映像教材もあるので、時間をかけてじっくり学びたい方におすすめです。在宅受験も可能なので、申し込みから資格の取得までリモートで完結できます。

【在宅受験の場合の受講料】76,800円(税込)
【会場受験の場合の受講料】58,800円(税込)
【申し込みから取得までの期間】2週間〜2ヶ月(目安)

上記にくわえて合格時した場合は下記の費用がかかるため、在宅受験の場合の総額は136,700円(税込)、会場受験の総額は118,700円(税込)です。

【認定料】25,000円(税込)
【SSIへの入会金】19,000円(税込)
【SSIの年会費】15,900円(税込)

テキストを持っている場合は返金される

どのプログラムを選んでも、使用するテキストは飲食サービスに関する『新訂 もてなしの基』と、日本酒やその提供方法に関する『新訂 日本酒の基』の2冊です。プログラムを受講していない方も、Amazonなどでテキストだけを購入できます。受講するか悩んでいて、ひとまず学習内容を知りたい方や自分のペースで勉強を始めてみたい方は、テキストの購入から始めるのもいいでしょう。

NPO法人FBO『新訂 もてなしの基』
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会『新訂 日本酒の基』

テキストを持っている方は、希望のコースで申し込み後に「テキスト不要ご返金手続き」を申請するとテキスト代が返金されます。

全コース共通!唎酒師の維持費

どのコースで受講しても、合格後はSSIへの入会が義務づけられています。入会金は19,000円(税込)で、年会費の15,900円(税込)は毎年更新するたびに支払います。

「唎酒師を名乗るために、必ずしもSSIに入会している必要はない」とされていますが、退会した場合は「2021年 唎酒師試験合格」のように変更し、保有資格や肩書きとしては提示しない方が多いようです。

なお会費は「酒匠」や「日本酒学講師」など、SSIが認定する他の資格と共通しています。そのため唎酒師合格後も複数の資格を取得する場合には「ひとつの資格あたりの維持費用が下がる」とも考えられます。

唎酒師の試験概要と出題形式

試験は1日のうちに第1次試験から第4次試験までおこなわれ、各テストとも70%以上を正答すれば合格です。それぞれの試験の概要と、出題形式を解説します。

具体的な試験開催日程および会場についてはこちらから確認してください。また、各試験の例題はこちらで閲覧できます。

第1次試験

飲食のプロフェッショナルとして欠かせない心構えや能力、食品・飲料全般の基礎知識を確認する試験です。料飲サービス検定合格者(合格後3年間に限る)、FBO認定会員は第一次試験は免除になります。ただしFBO認定会員であっても、SSIインターナショナルの認定資格(国際唎酒師、国際酒匠など)保有者は免除対象外です。

【出題形式】選択式(一部記述式)
【試験時間】50分
【出題範囲】『新訂 もてなしの基』

第2次試験

日本酒の原料や製法、歴史などに関する、幅広い基礎知識が問われる試験です。日本酒の提供・販売における問題点や、その解決策について適切な回答を求められます。

【出題形式】選択式(一部記述式)
【試験時間】50分
【出題範囲】『新訂 日本酒の基』

第3次試験

日本酒の提供や販売に欠かせないテイスティングスキルを問う筆記試験です。実際にテイスティングをして、日本酒の品質や個性を評価・判定します。日本酒の特性を理解したうえで、言語化するスキルも求められます。

【出題形式】記述式(一部選択式)
【試験時間】50分
【出題範囲】『新訂 日本酒の基』『テイスティングノート』

第4次試験

日本酒のサービスやセールスプロモーションの知識が問われる試験です。季節や味わいで分類された4タイプの商品の、セールスプロモーションの企画・立案などを記述式で回答します。

【出題形式】記述式
【試験時間】50分

唎酒師の合格率

プログラムの受講→試験という体制が整っていることもあり、唎酒師試験の合格率は80%前後の高さと言われています。広い範囲について学ぶ必要がありますが、難易度自体はそれほど高くありません。

そのためテキストや講座で学んだ内容を完全に理解するには、合格後もサービスの実務などを通じて学び続ける姿勢が重要になります。

まとめ:唎酒師は幅広い知識を学べる資格

唎酒師は日本酒のサービスに関する実践的な知識とスキルを学べるだけでなく、お客様からの信頼を得られたり、自身の日本酒の楽しみ方が広がったりと、多くのメリットがある資格です。

世界的に日本酒の需要が高まっているなかで唎酒師の活躍の場は、ますます広がっていくでしょう。

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