2022.05
03
日本酒にも季節がある!四季それぞれの旬の日本酒の味わいと特徴を解説
四季折々で旬の食材を使った料理を楽しむように、日本酒も季節によって違う楽しみ方があります。
日本酒は一年中いつでも味わえますが、その時季にしか味わえない期間限定の貴重なお酒もあるんです。 季節ごとの日本酒の特徴について解説します。
冬の日本酒「新酒」を味わう
酒造りは一般的に秋以降、お米の収穫が終わってから始まります。その年の秋に収穫したお米で造られ、翌年3月ごろまで販売される日本酒が「新酒(※)」です。お正月やハレの日にぴったりの、縁起のいいお酒としても親しまれています。
新酒は火入れなどの手を加えず、できたて・しぼりたての状態で出荷されるお酒も多いです。
新酒のラベルには「初しぼり」や「しぼりたて」の文字が書かれていますが、その年に収穫したお米で仕込み、しぼってすぐに出荷される日本酒が「しぼりたて」と呼ばれます。 「初しぼり」と呼ばれるのは、その年に収穫したお米で初めて仕込み、初めてしぼった日本酒だけです。
(※)「新酒」は、「熟成酒」や「古酒」の対義語として「その年に造られた日本酒」という意味で使われる場合もあります。
また、この時期には「活性にごり」という日本酒も多く販売されます。加熱殺菌処理をしないため酵母が生きたままで発酵が進み、炭酸ガスを含んだお酒です。白くにごった見た目が雪を連想させるところも、冬にぴったりですね。
味が変わりやすいので、開封したら早めに飲み切るようにしましょう。炭酸ガスが抜けてしまったら、燗酒で飲むのもおすすめです。
春の日本酒「春酒」を味わう
3月から5月ごろにかけて販売される、春限定の日本酒が「春酒」です。 春酒は花見酒ともいわれ、桃色のボトルやラベルなど桜をモチーフにしたものが多く販売されています。ほのかな甘味とすっきりとした味わい、そして春を思わせる華やかな香りが特徴のお酒が多いです。
また、フレッシュで少し苦味のある味わいは、春の旬の食材であるタケノコや山菜などとの相性もよく、一緒に味わうことで春の訪れを感じさせてくれます。
花見酒には、桃色酵母を使用することでお酒の色を桜のような桃色に仕上げた「桃色にごり」もおすすめ。にごり特有のクリーミーな舌触りとさっぱりとした味わいで、アルコール度数も低いものが多いです。
他にも桜の花びらが舞っているように見える「うすにごり」、うっすらと濁っていてお米の旨味が強く感じられる「おりがらみ」なども、春に発売される商品が多いタイプのお酒です。
夏の日本酒「夏酒」を味わう
6月ごろから店頭に並び始める夏季限定の日本酒が「夏酒」です。 青や水色、透明のボトルに夏らしいラベルの日本酒は、見ているだけで涼しくなります。
実は「夏酒」は最近できた言葉です。夏はビールなどに比べて日本酒の需要が低く、もっと日本酒をたくさんの人に飲んでもらえるようにとの思いから生まれました。 暑い時期にも飲みやすいように、夏酒はすっきりとした軽快な味わいのタイプや、爽やかな酸味を特徴とするタイプのお酒が多いです。
夏酒に多い淡い色合いのボトルは紫外線を遮断しにくいため、日に当たるとお酒の風味が劣化してしまうかもしれません。生酒の場合は必ず冷蔵で、それ以外の場合もできるだけ涼しい場所で保管してください。
秋の日本酒「ひやおろし」「秋あがり」を味わう
9月から11月ごろに販売される秋限定の日本酒が「ひやおろし」です。
通常の日本酒は2回火入れをおこないますが、ひやおろしは2回目の火入れをせずに「生詰め」という状態で出荷します。「瓶詰め前の火入れをしない=冷や」のまま「出荷する=おろす」ことから、「ひやおろし」と呼ばれるようになったといわれています。 夏に涼しい蔵のなかでじっくりと熟成させたひやおろしは、まろやかで落ち着きのある、濃醇な味わいが特徴です。
一方で火入れの回数とは関係なく秋まで貯蔵し、おいしく熟成した日本酒を「秋あがり」といいます。 「ひやおろし」も「秋あがり」も、秋にしか味わえないお酒です。お燗に向いた味わいのお酒が多いため、涼しい夜にぜひお試しください。
まとめ
季節ごとに変わる日本酒の味わいや特徴についてご紹介しました。
四季で変化する景色や旬の食材を楽しむように、日本酒でも四季を感じられます。旬の食材と旬の日本酒でのペアリングもおすすめです。
限られた時季にしか味わえない貴重な日本酒をぜひ味わってみてください。
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