【由来から日本酒樽選びまで】「日本酒」を使った鏡開きについて丁寧に解説

2022.12

27

【由来から日本酒樽選びまで】「日本酒」を使った鏡開きについて丁寧に解説

酒スト編集部  |  日本酒を学ぶ

お祝い事に際して、お酒を入れた樽の蓋を木槌で割る「鏡開き」。結婚式などの行事でしばしば見かけるので、特にお酒好きな人は「自分のイベントでもやってみたい!」と考えたことがあるかもしれません。

この記事では、鏡開きの由来から、実際に鏡開きをおこなうときに準備すべきもの、酒樽選びのポイントなどを解説します。

鏡開きって?

鏡開きとは、お祝い事で、日本酒が入った酒樽の蓋を割り開けて、中のお酒を飲み交わすこと。なぜ、樽の蓋を割ることを「鏡開き」と呼ぶのでしょうか。

鏡開きの由来

かつて、酒樽の上蓋は「鏡」と呼ばれていました。酒樽の蓋をあけることは、「抜く」と表現されており、正式には「鏡抜き」といいます。しかし、「抜く」という表現の語感が悪いため、一般的には「鏡開き」と呼ばれています。

「開く」という言葉には「末広がり」の意味があり、運や喜びを広げていく縁起の良さを感じさせます。こうしたことから、おめでたい行事で鏡開きをすることで、幸福を祈願する慣習が生まれました。

ちなみに、鏡開きというと、正月に丸い鏡餅を割って食べる行事を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。これも由来は同じであり、どちらも新たな門出に健康や幸福などを祈願するためにおこなわれます。

日本酒との関係

では、なぜ鏡開きには日本酒が使われるのでしょうか。

日本酒は、日本の伝統的な主食である米で造られ、神に贈るお酒である御神酒として、昔から祝辞や祭礼で使われてきました。神聖でご利益のあると考えられてきた日本酒だからこそ、お祝い事を彩る鏡開きにも用いられているのです。

ちなみに、酒樽に入れた日本酒は、日本酒のもともとの香りに杉やヒノキの木の香が合わさり、より芳醇な香りが生まれます。口当たりもまろやかになるので、まさに酒樽でしか味わえない特別なお酒になるのです。

鏡開きで必要なもの

鏡開きの主な流れは下記のとおり。

①あらかじめ酒樽の上蓋を外して、簡単に開けられるようにしておく
②実際に開いてお酒を配る

それぞれの段階には、以下の道具が必要です。

①あらかじめ蓋を外すために必要なもの

  • 菰樽:      祝い事用の酒樽
  • タオル:     酒樽の上蓋の縄くずを取り除く
  • かま・カッター: たち縄(酒樽の上部の縄)を断ち切る
  • バール/しめぎ:   酒樽の上蓋を一度取り外す
  • 茶こし:     蓋を外した後、くずを取り除く

②実際に開いて配るときに必要なもの

  • 竹芍:(たけじゃく)お酒をよそうための道具
  • 桧升:(ひのきます)お酒を入れる升

鏡開きで使う日本酒樽を選ぶ

ここでは、主役となる酒樽の選び方を見てみましょう。

どんなサイズがちょうどいいか

酒樽は、参加者の人数に合ったサイズを選びましょう。酒蔵が用意している一般的なサイズは、一斗(18リットル)から四斗(72リットル)です。例えば、一斗の樽を使う場合、一合サイズ(180ミリリットル)の升に約100杯分のお酒を配ることができます。

100杯も必要ないという人のためには、「上げ底」という方法があります。樽の内側にに木の板やステンレスのボウルのようなものを入れることで、お酒の容量を減らすやり方です「人数は少ないけれど、樽は大きいものを用意して豪華にしたい!」という人にもおすすめです。

ちなみに、ステンレスの上げ底を使うと、お酒に樽らしい木の香りが付かない一方、元々のお酒の味を楽しめるというメリットもあります。

樽のみのレンタルという選択肢

酒蔵でお酒入りの酒樽を購入するだけでなく、酒樽のみをレンタルで利用することもできます。

イベント会場で酒樽を借りる場合には自分でお酒を用意する必要がありますが、好みのお酒を入れることができるというメリットもあります。一般的に樽酒でよく使われる日本酒は、本醸造酒や純米酒など香りが強すぎないタイプ。木香をより楽しむためだと考えられますが、先ほど紹介したステンレスの上げ底を使う場合には、お祝いごとらしい華やかな吟醸酒・大吟醸酒などを入れてみてもよいでしょう。

お祝い事に使われる酒樽「菰樽(こもだる)」について理解する

最後に、豆知識として、お祝い事に使われる「菰樽(こもだる)」を紹介します。

鏡開きなどのお祝い事では通常の酒樽ではなく、樽を「菰」で巻いたものを使用します。菰とは、本来は「マコモ」というイネ科の植物で編んだ筵(むしろ)のこと。酒樽を巻く菰は、かつては米から酒を造った副産物である稲わらで作られてきましたが、現在では稲わらを編む職人の減少や、より扱いやすくする目的のために、ビニール製のものが中心になっています。

もともと日本酒樽の破損を防ぐために始まった菰の巻き付けですが、現在では樽をより豪華に飾ることを目的として、絵付けされた菰が巻かれています。

お祝い事を鏡開きで華やかに彩りましょう

日本酒による鏡開きは、自分や大切な人の健康や幸福を祈願し、門出を祝うのにぴったりの慣習です。

日本酒が幸せを運ぶと信じられて続いてきた伝統行事。お酒好きな人とのお祝い事に、ぜひ取り入れてみてください。

話題の記事

人気の記事

最新の記事