日本酒の「BY」とは?ラベルに書かれた「醸造年度」の意味を解説!

2021.07

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日本酒の「BY」とは?ラベルに書かれた「醸造年度」の意味を解説!

山崎 まりあ  |  日本酒を学ぶ

皆さんは日本酒のラベルや飲食店などのメニューで「〇〇BY」という表記を見かけたことはあるでしょうか。2020BYや30BYなど「数字+BY」となっていますが、実は数字からその日本酒をより深く知ることができます。同じお酒でもBYの数字が異なると味わいも大きく変わることもあるのです。この記事ではそんなBYラベルの意味や楽しみ方まで詳しく解説していきますので、お酒選びの参考にしてみてください。

BYは、酒の醸造年度/酒造年度を表す

BYは「Brewery Year」の略で、 お酒の醸造年度/酒造年度を表しています。 醸造年度は日本酒製造においての1年の区切り方であり、7月1日から翌年6月30日を1年としています。 表記の仕方は「製造年度+BY」となっていて、例えば2021年1月に造られた場合は「2020BY」と表記されます。 もともと酒税法で酒類の製造量を正しく把握するために定められ、当初は秋に米を収穫し10月から春先にかけて日本酒造りを行うこと(寒造り)が多かったため、10月1日から翌年9月30日までとしていました。 しかし醸造技術の発達や早生米の登場により、10月よりも早く酒造りを始める酒蔵が多くなったことから、1965(昭和40)年に現在の7月1日〜6月30日に年度を改めることが決まりました。

以前のBYに倣って、10月1日は「日本酒の日」とされている

余談ではありますが、1978年から「日本酒を後世に伝えること」を目的に10月1日を日本酒の日とすることが日本酒造組合中央会により定められました。これは当初日本酒の醸造年度が10月1日から始まったことが日付の理由となっています。 毎年10月1日には各地で日本酒のイベントが行われています。過去の醸造年度の決まりが、今でも日本酒好きの人々に大切にされていることが伝わりますね。

BYラベルの表示ルール

BYラベルにはいくつか表示の特徴が存在します。BYラベルから正しい情報を得られるようにこれらの特徴を抑えていきましょう。

BYの表示は義務ではない

BYラベルの表記は義務ではなく、特に少し前まではBYが表記されているお酒は多くありませんでした。その一因として、以前は「日本酒は新しいものの方が良い」と考えられ、熟成酒や古酒はあまり好まれないうえ、殆どの日本酒は造られてから一年程度で消費されていたことが挙げられます。 今はワインなどの影響もあって、熟成の良さが見直されてきており、その結果多くの酒蔵でBYラベルが普及しています。

ブレンドのお酒の場合、BYの表示は行わない

異なる醸造年度のお酒を組み合わせたブレンド酒では、BYの表示は行いません。ただし、「○年熟成」というような表示を行う場合は、ブレンドしたもののうち最新の年度を反映した表示を行う必要があります。たとえば2020年度の時点で、2016〜2019年のお酒をブレンドした商品を販売する場合は「1年熟成」という表記になります。ただし実際には、この場合は熟成年数を表記する例は少ないようです。

製造日は必ずしもBYを表さない

BYは日本酒の元になるもろみを搾って日本酒が作られた年度であり、日本酒を瓶詰めした製造日と同じになるとは限りません。例えばもろみを搾ったあとタンクなどで熟成させた場合、 もろみを搾った日付(BY)と、タンクで寝かせたあと実際に瓶詰めをした日付(製造日)は異なるでしょう。ラベルから色々な製造段階のタイミングが測れるのも楽しみの一つかもしれません。

製造日表記の具体的な内容については、以下の記事でまとめています。

BYラベルの楽しみ方

BYラベルの意味と特徴がわかったところで、その情報をどのように楽しんでいくかご紹介します。

ビンテージの日本酒を探す

日本酒はワインほどビンテージのものは多くありませんが、近年では熟成した日本酒も数多く登場しています。BY表示を見ることでそのお酒がいつ作られたのか知ることができるので、歴史のあるお酒に出会えるかも知れません。ビンテージのお酒は重厚で深い味わいになると同時に、角が取れ調和のとれたコクを楽しめます。

長期熟成酒はまだ多くありませんが、若い方であれば「生まれ年の日本酒」を見つけることもできるかもしれません。熟成されたお酒に挑戦してみてはいかがでしょうか。

BYラベルでのお酒選びを楽しみましょう

今回はBY(醸造年度)についてその意味や表記の特徴、楽しみ方まで解説を行いました。皆さんのBYラベルに対する疑問が少しでも解消されれば幸いです。BYラベルを読み解くことで、いつ造られたお酒なのかが分かるだけでなく、造り手の思いや歴史を感じることができます。またその年その年で同じお酒でも味わいが異なるものもあるので、飲み比べてみるのも楽しいかもしれません。BYラベルが日本酒をより楽しむきっかけになれれば嬉しいです。

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