日本酒の注文に使う言葉を総まとめ!サイズや温度、迷いやすい読み方も解説

2022.04

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日本酒の注文に使う言葉を総まとめ!サイズや温度、迷いやすい読み方も解説

酒スト編集部  |  日本酒を学ぶ

「日本酒を頼んでみたいけれど、何をどう注文したら良いんだろう」と悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。この記事では、居酒屋などで日本酒を注文する際によく使われる言葉をご紹介します。戸惑わずに注文できると日本酒を気軽に楽しめるようになりますので、ぜひ覚えてみてください。

日本酒のサイズを表す言葉

多くのお店では、日本酒を注文した際に「量はどうしますか?」と聞かれます。「一合、二合」と「合」単位で指定する場合や、「グラスで」と指定する場合が一般的です。それぞれが示す量を解説します。

1合(ごう)で注文する日本酒の量

お店で日本酒を注文する際、もっともよく使われる単位が「合」です。一合は約180mlなので、4人で飲む場合はおちょこで一杯ずつ程度味わえます。 飲む人数に合わせて「この日本酒を一合ください」「二合でお願いします」と注文しましょう。

ただし、一合徳利を注文したからといって、きっちり180mlの日本酒が入っているとは限りません。正確な経緯はわからないものの、居酒屋で使われている徳利は一合の約8割(150ml)ほどであることが慣習になっています。一合を正しく180mlで提供するお店は「正一合(しょういちごう)」と表示している場合もあります。

グラスで注文する日本酒の量

一合だけではなく、約90ml程度のグラス単位で注文できるお店も多いです。少人数やひとり飲みでも、いろいろな日本酒を楽しめます。和食のお店では、「5勺」と、勺(18ml)の単位でメニューに書かれている場合もあります。

ただしこちらもお店によってグラスのサイズが異なりますし、「もっきり」という升や受け皿にわざと溢れさせる注ぎ方もあるので、量は目安だと考えてください。

【もっきりで注がれたお酒の飲み方】
①グラスを傾けて、お酒を升か受け皿に少し移す
②持ち上げてもこぼれない程度になったらグラスから飲む
③グラスのお酒が少なくなったら升か受け皿のお酒を移す

グラスに移さずそのまま飲んでも構いません。升の場合は、角ではなく辺から口をつけて飲みます。

日本酒を飲む温度を伝えるときに使う言葉

温度によって香りや味が変化する日本酒。季節や合わせる料理、その日の気分によって温度を変えると、日本酒のさまざまな魅力を楽しめます。お店の人から「お酒の温度はどうしますか?」と聞かれた場合に使用する言葉を紹介します。

日本酒を冷蔵庫などで冷やした「冷酒(れいしゅ)」

ひんやりよく冷えた日本酒を一合飲みたい場合は「冷酒で一合」と注文します。冷酒は5度刻みで以下のような名称で呼ばれることがあります。

【冷酒の温度帯別名称】
・ 5度:雪冷え(ゆきびえ)
「雪のように冷たい」が由来の「雪冷え」は、香りが抑えられてクリアな味わいを楽しめます。よく冷えた雪冷えの温度帯は、日本酒に馴染みがない方にも好まれやすい味わいになります。

・10度:花冷え(はなびえ)
「花さえも冷たくなる」が由来の「花冷え」は口当たりが軽やか。雪冷えと比べると、味や香りが広がりやすい温度帯です。

・15度:涼冷え(すずびえ)
「涼やかな冷たさ」が由来の「涼冷え」は、雪冷えや花冷えと比べて香りを感じやすく、ほどよい清涼感があります。

通常、冷酒は5度程度で保管されている場合が多いため、これらの言葉を注文の際に使うことはほとんどありません。しかし飲み進めていくうちに日本酒の温度が上がり、味わいの変化を感じられるでしょう。

常温保存した日本酒をそのままいただく「冷や(ひや)」

「冷や」と冷酒は間違えやすいので要注意です。穏やかで落ち着いた日本酒の香りと味を楽しみたい場合には、お酒を冷やしも温めもせずに、常温でいただく「冷や」がおすすめです。お店によっては「常温」と表記されている場合もあります。

冷蔵庫のなかった時代、日本酒は常温で飲むか温めて飲むかの二択しかなかったため、温めない常温のお酒を「冷や」と呼ぶようになりました。
しかし現代では冷酒のことを「冷や」と呼ぶ人も増えているため、「冷やでください」と注文しても常温ではなく冷酒が出されてしまう可能性があります。

冷やされた日本酒を飲みたい場合は「冷酒で」、常温で飲みたい場合は「常温で」と注文するほうが確実です。

日本酒を温めた「燗酒(かんざけ)」

日本酒を温めることを「燗(かん)」と言い、お米の香りや旨味が増して落ち着いた味わいになる傾向があります。ぜひお店の人に、燗酒におすすめのお酒を尋ねてトライしてみてください。

燗酒も冷酒と同様に、5度刻みの名称があります。お店で注文する際には「熱め」「ぬるめ」など、おおまかな好みを伝えるだけで大丈夫です。お酒によって適した温度は異なるので、お店の人に温度をお任せするのもおすすめですよ。

【燗酒の温度帯別名称】
・30度:日向燗(ひなたかん)
日向のようなほんのりとした温かさが由来。常温に近い温度ですが、味や香りが常温よりも少し引き出されます。

・35度:人肌燗(ひとはだかん)
人間の体温に近いことが由来です。人間の舌は体温に近い温度の食べ物・飲み物の味を感じやすいという性質があるため、冷酒や常温では隠れていた香りや味わいが感じられるようになります。

・40度:ぬる燗(ぬるかん)
「ぬるい」という言葉のイメージよりも、熱めの温度です。ふくよかな米の旨味が感じられるようになります。

・45度:上燗(じょうかん)
湯気が出るくらいの温度です。ぬる燗よりも引き締まった味わいになり、後味のキレもしっかり感じられるようになります。

・50度:熱燗/あつ燗(あつかん)
「熱燗」は温めた日本酒の総称としても使われますが、50度程度の燗酒を指す言葉です。味わいの濃さやキレのよさに加えて、アルコールの香りも強く感じられるようになります。

・55度:飛び切り燗(とびきりかん)
50度以上の燗酒をまとめて熱燗と呼ぶ場合もありますが、しっかりと温めた日本酒が飲みたい場合は「飛び切り燗で」と注文してみましょう。力強い味わいがクセになるかもしれません。

読みにくい日本酒用語を解説

メニュー表やお酒のボトルに書いてある日本酒用語がわかれば、好きな日本酒を選びやすくなります。代表的なものを以下にまとめました。精米歩合や、純米大吟醸などの特定名称についてはこちらの記事をご覧ください。

生酒(なまざけ)/生原酒(なまげんしゅ)

生酒は一度も火入れ(加熱処理)をしていないお酒で、生原酒は火入れも加水もしていないお酒です。どちらもみずみずしいフレッシュな味わいを感じられます。生原酒は旨味や香りがより強く、濃厚な味わいです。

山廃(やまはい)/生酛(きもと)

山廃も生酛も、日本酒の酒母(しゅぼ)造りの技法です。いずれも天然の乳酸菌をじっくりと時間をかけて増やす技法で、深い旨味や適度な酸味が感じられる日本酒になります。山廃・生酛仕込みの日本酒は、燗酒で風味の奥深さを楽しむのもおすすめです。

山廃・生酛について詳しく知りたい方はこちら

BY(ビーワイ)

「Brewery Year」の略で、日本酒が搾られた年度を指します。例えば「30BY」や「2018BY」であれば、平成30年(2018年)が酒造年度です。同じ銘柄の日本酒でも製造した年によって味わいが変化するため、BYの違いを楽しんでみるのも良いでしょう。

BYについて詳しく知りたい方はこちら

日本酒の銘柄が読めないとき

日本酒の銘柄はただでさえ難しい漢字が使われていることも多いうえ、通常の漢字の読み方とは異なる場合もあり、詳しい人でも読み間違えることは珍しくありません。日本酒の銘柄に多い、読み方のポイントをふたつご紹介します。

ひとつめのポイントは、「音読み」ではなく「訓読み」にする場合が多いことです。たとえば「清泉(きよいずみ)」、「黒牛(くろうし)」のような銘柄がこれに該当します。

ふたつめは「◯◯桜」を「◯◯さくら」のように、濁音にせず読むケースが多い(「四季桜(しきさくら)」「初桜(はつさくら)」など)ことです。
これは「濁りのない清らかな酒になるように」との願いが込められているためと言われています。

ただし「金鼓(きんこ)」「竹泉(ちくせん)」のように音読みで読む場合や、「三千櫻(みちざくら)」「出羽桜(でわざくら)」のように濁音で読む場合もあります。 また、地名や人物名などの固有名詞が銘柄名に使われている場合も多いので、先ほど紹介したふたつのポイントはあくまでも目安程度に考えておくとよいでしょう。

初めて見る銘柄は「読めなくても当たり前」であることは、詳しい人ほどよく分かっています。読めない場合は、遠慮せずお店の人に聞いてみましょう。

まとめ

日本酒にこだわっているお店なら、店員さんとコミュニケーションを取りながらお酒を選ぶと、そのお店のお酒を一層楽しめます。 初めから日本酒に詳しい必要はありませんが、言葉の意味や読み方を知っていると店員さんに話しかけやすくなりますよね。

いろいろな日本酒をお好みのサイズと温度帯で注文して、美味しい時間をお楽しみください!

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