2023.10
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定番酒への愛を熱く語る - 「群馬泉 山廃本醸造」島岡酒造(群馬県)
SNSなどで日本酒の情報を追っていると、新商品が次々とリリースされているのが目に入ります。ファンとして、お気に入りの酒蔵・銘柄の商品はすべて追いかけたいもの。しかし、目まぐるしく更新される商品情報をフォローするのは楽しくも根気の必要な作業でもあります。
そんな日本酒好きのみなさんに提案したいのが、「定番酒」という楽しみ方。定番酒とは、その酒蔵の思想を体現する看板商品であり、だからこそロングセラーとして君臨しています。限定商品をコンプリートするのもいいけれど、毎日の晩酌で飲みたくなる定番酒の良さを改めて感じてほしい! というアツイ想いからスタートしたのが、「定番酒への愛を熱く語る」シリーズです。
第5回目は、SAKE Streetの「地酒論」などで執筆してくれていた河島泰斗さんこと“わっしー”さんが、群馬県・島岡酒造「群馬泉 山廃本醸造」について語ります。
二駅隣の酒屋さんで手に入るお酒
10数年前、神奈川県大磯町で酒米づくりのプロジェクトに取り組んでいた時期がありました。そこで、プロジェクト仲間のSさんに薦められたのが、「群馬泉」との出会いだったと記憶しています。
最初に飲んだときから「好みの味わいだ」とは思ったのですが、当時住んでいた街の居酒屋や酒屋では取り扱いがなく、しばらくは、たまに遠方の居酒屋に行くとき飲むという程度の付き合いでした。それが、7年前にいまの街に引っ越したところ、たまたま二駅隣の酒屋さんで取り扱いがあり、定期的に買って飲むようになりました。
夏以外の夜、飲みたい時に飲む
「群馬泉」が我が家の定番酒になったのには、いくつかの理由があります。まず、前に書いたように近所で常に手に入るところ、そして、お燗がとても美味しく、常温でも美味しいところ(常温が味の好みであることは、定番酒の必須条件。さらにお燗もおいしいと加点となります)。そして、火入れ熟成なので、管理に気を遣わなくてよいところです。
よく登場するのは、夏以外の晩酌。特に、晩秋から初春の寒い時期です。冬は燗酒、春・秋は常温で飲むことが多いです。
食べ物との組み合わせはあまり意識することはなく、 複数本の常備酒のなかから 「群馬泉を飲みたい時に飲む」 という感じです。日本酒以外のお酒も大好きで、夏の晩酌は大手の缶ビールに自然と手が伸びますし、気が向けばワインやクラフトビールを飲むこともあります。そして、深夜は色々な蒸留酒をちびちび飲みます。
なお、群馬泉は妻も好きで一緒に飲めるところも気に入っています。私の趣味で我が家には酒がたくさんあり、よく「減らして」とか「片付けて」とか言われるのですが、群馬泉には寛容なのです。
労働者の日常のそばに
以前、蔵元の島岡さんが 「地元(群馬県館林市)のスバルの工場で働いている方々のためにお酒を造っている」 とおっしゃっていて、とても良いなと思ったことがあります。「地元の人々のための酒」という意味では地酒ですが、 「労働者の日常を癒す酒」 という意味で解釈するなら、自分にも当てはまるのかもしれません。
群馬泉の味わいが気に入っているのは、自分にいちばん合っていると感じられるからです。友人知人にはよく 「体液とシンクロしているイメージ」 と話すのですが、それ以上は言葉にできません。
なので、あまり人に薦めるつもりはありません。もしこの文章を読んで「いいな」と思ったら、試してもらえるとうれしいです。私も、近くで入手できる限りは買い続け、飲み続けようと思っています。
河島泰斗(わっしー)
昔はちょっとだけお酒関係の仕事をしていましたが、いまは一介の飲み手です。朝のコーヒー、日中のお茶、晩酌の日本酒又はビール、深夜の蒸留酒をほぼ毎日欠かさず、飲み物に囲まれて日常を過ごしています。
SAKE Streetメディアでの執筆記事一覧
Twitter: @wassy1974
note: https://note.com/seicho_kasutori/n/ncab2a0f86a8e
【シリーズ:定番酒への愛を熱く語る】
料理研究家 松原もも:「獺祭 純米大吟醸45」旭酒造(山口県)
WSET Sake エデュケーター KJ Sakura:「泡々酒ストライプ」丸本酒造(岡山県)
会社員 godanism:「奈良萬 純米酒」夢心酒造(福島県)
料理家・酒屋「発酵室よはく」店主 真野遥:「丹澤山 麗峰」川西屋酒造店(神奈川県)
会社員 河島泰斗(わっしー):「群馬泉 山廃本醸造」島岡酒造(群馬県)
「定番酒への愛を熱く語る」シリーズの記事一覧はコチラ
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