【インバウンド向け】これを覚えておけば安心! 英語で日本酒を説明するための実用表現集

2023.09

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【インバウンド向け】これを覚えておけば安心! 英語で日本酒を説明するための実用表現集

木村 咲貴  |  SAKE English

コロナ禍に長く続いた制限が緩和され、昨今は円安もあわせてインバウンド観光客の人足が戻ってきています。海外からのお客さんが来ないのにすっかり慣れてしまった酒販店、飲食店、酒蔵などのみなさんは、「英語の勉強をやり直さないと!」と慌てているころかもしれません。

SAKE Streetでは過去に、実際にアメリカの酒販店で販売スタッフとして働いていた筆者・木村咲貴による、「英語で日本語を説明するための実用表現」シリーズがあるのでぜひ活用してみてください。

今回の記事ではさらに、インバウンドならではのシチュエーションにフォーカス。海外から日本へやってきたお客さん向けの会話および注意点を解説します。

相手のレベルを確認するのを忘れずに!

海外から日本へやってくるお客さんにはもちろんさまざまな人がいますが、日本酒という観点で見ると大きく二つに分かれます。そして、この二つのどちらかによって、取るべき対応はまったく異なります。

ひとつは、まったく日本酒を知らない人たち。Googleマップを見て、「日本のお酒が飲めるのかな?」と、たまたま立ち寄ったようなライト層です。

そしてもうひとつは、日本で売っているレアなお酒や、現地と比べて安価なお酒をたくさん買いにきた日本酒ガチ勢。その中には、海外でソムリエやインフルエンサーとして活躍しているようなプロフェッショナルもいるでしょう。

日本人でも同じことですが、はじめにきちんと相手のレベルを確認することは、販売につなげるためにも不可欠です。

Have you ever consumed sake?
(日本酒を飲んだことはある?)

Do you often drink sake?
(日本酒はよく飲むの?)

Are you a sake specialist?
(あなたは日本酒の専門家ですか?)※ジョーク風

まずは上記のような質問をして、相手の反応を見ながらレベルを確認してみましょう。最後の質問は少し冗談っぽいノリで、相手が初心者だとしても「Never!(そんなわけないでしょ!)」と笑わせることができるので、意外とレベルを問わずに使えます。

買ったお酒はいつ飲むの?

ご自分が旅行中にお酒を買うシーンを想像してみてください。滞在期間中にホテルの部屋で飲むこともあれば、お土産として家まで持ち帰ることもあるでしょう。日本酒は、タイプによって異なる保存方法が求められるので、海外からやってきたお客さんに関してはこの点を確認しなければなりません。

Do you want to drink at the hotel or take it home?
(ホテルで飲むの? それとも家に持って帰る?)

Where will you drink this sake? In Japan or in your country?
(どこでこのお酒を飲むの? 日本? それとも国に帰ってから?)

滞在期間中に飲むのであればあまり気を遣いすぎなくてもよいのですが、もし、お土産として国に持ち帰りたいと言われたら、その日本酒が適切であるかを判断してあげる必要があります。日本へ旅行にやってくる海外観光客は、東京を訪れた後に京都や長野へ行って……と複数都市を渡り歩くパターンも多いので、いつまで日本にいるかを確認してあげるのも大切です。

When will you return to your country?
(いつ帰国するの?)

How long will you stay in Japan?
(いつまで日本にいるの?)

This sake needs refrigeration, so maybe not suitable for you.
(このお酒は冷蔵で保存しなければならないので、合わないかもしれないね)

Keep it in the fridge of your hotel until just before you leave.
(出発の直前まで、なるべくホテルの冷蔵庫に入れておいてください)

なお、日本の国内便はお酒を機内の手荷物に持ち込むことが可能ですが、海外へ行く国際便では預け入れなければなりません。さらに、国によって異なりますが、国内便でも機内にお酒を持ち込んではいけなかったり、荷物を預けるのにお金がかかったり、他国から持ち込んだ一定量以上のお酒に関税を払わなければならなかったりと、ルールが異なります。知らずに旅行している観光客も少なくないので、購入前に確認するようにしましょう。

コラム:99%割れない!? 日本酒の梱包方法

海外に日本酒を持ち帰るときに気をつけなければならないのが、割れないように梱包すること。日本にいると信じられないかもしれませんが、海外の空港では平然とお客さんの荷物を投げるので、自己責任でしっかり破損対策をしなければなりません。

ここで、アメリカへ旅行するたびに毎回10本もの日本酒をスーツケースで運び、現地の酒屋さんでも配送作業をおこなっていた筆者が、割れない梱包のコツを解説します。

①荷物の中で動かないようにする
割れない梱包、イコール、スーツケースや箱の中で動かないようにするということ。どれだけ緩衝材で包んでも、荷物の中で動いてしまうと、投げられたときに衝撃を受ける可能性があります。お酒自体を梱包するのはもちろんですが、ともかく動かないように周りをガチガチに埋める! というのが重要です。

②服やタオルなど、手荷物を工夫して使う
お酒を梱包するのに、プチプチなどの緩衝材が必要であるとは限りません。緩衝材が手に入らないときや、使うと荷物がかさばってしまうときは、手持ちの洋服やタオル、靴下やブーツなどで包むことも可能です。ただ、万一割れてしまうと悲惨なことになってしまうので、お酒を先にビニール袋やジップロックなどで密閉してから包むと被害が軽減されます。

③お酒を売る人におすすめのワインスキン
お店の人は、お客さんから緩衝材をリクエストされることもあるかと思いますが、そんなときにおすすめなのがワインスキン。750mLのワインボトルにぴったりのかたちで、内側にプチプチがついており、しっかり密閉できる専用の梱包バッグです。輸入品でそれなりのお値段がしますので(円安のせいで高くなっているような……)、一枚いくらという値段で販売するのが良いでしょう。
Wine Skin ワインスキンバッグ 2パック

免税にまつわる英会話

お酒を売っている販売店の中には、消費税を免税できる免税店もあるため、お客さんから「Do you offer tax free?(免税対応していますか?)」と確認されることもあるかもしれません。

ちなみに、免税にはTax FreeDuty Freeがありますが、多くの免税店は消費税のみが免税されるTax Freeが該当します。Tax Freeのシチュエーションに特化した英会話については、観光庁のこちらのページで購入の流れに沿って解説されていますので、ぜひチェックしてみてください。
Electronic procedures Tax-free Procedure Point and Speak Sheet | 観光庁

Duty Freeとは、基本的に空港で適用される免税であり、消費税のほかに関税や酒税、たばこ税などが免税されます。

つまり、一般的な小売店には関係ないものだったのですが、2017年10月より始まった「訪日外国人旅行者向けの酒税免税制度」によって、お酒を製造している製造所内の売店に限り、消費税の免税に加えて酒税も免税することができるDuty Freeの制度が設けられるようになりました(事前に要申込)。
酒税免税について | 免税店.jp

なお、どちらの制度も税抜5000円以上の購入に限定されており、後者については酒税も差し引いた価格が適用されます。

免税対応店をでない場合は、「No, we don’t offer it.(対応していません)」と説明すればいいのですが、お客さんによっては「なぜ? ほかのお店はやってくれたのに!」と食い下がる人もいるかもしれません。その場合は、かんたんですが、下記のように説明をしてみましょう。

▼Tax Free(消費税免税)について聞かれた場合
Sorry, we have’t registered for it. We need to get a permit to be a tax free store.
(ごめんなさい、登録していないんです。免税店になるには許可が必要なんです)


▼Duty Free(酒税込みの免税)について聞かれた場合
Sorry, that only applies to a shop attached to a brewery.
(ごめんなさい、あれは酒蔵併設のショップしか登録できないんです)

インバウンド向け:よく聞かれる質問集

基本的な接客シーンや、日本酒のタイプに特化した解説などは過去のシリーズで紹介しているので、ここではインバウンドならではのよくある質問とその回答を紹介していきます。

試飲できますか?

美味しそうだなぁと思っても、実際に飲んでみないとなかなか買うとは決断できないものです。Do you offer tastings?(試飲はやっていますか?)など、「テイスティングについて聞かれているな、」と思ったらYesかNoで答えましょう。

質問されない場合でも、購入を迷っている人がいたら、

We do tastings. / You can taste it!
(試飲もしていただけますよ)

とおすすめしてみるのも良いでしょう。ただ、トラブルを防ぐために、有料か無料かは明確にしておくこと。

It’s free.
(無料です)


We offer only tasting for a fee, is that ok?
(有料試飲ですが、いいですか?)


We charge 300 yen for 45mL.
(45mLで300円いただきます)

そのほか、酒蔵さんの場合だと、Don’t you offer tours?(見学は受け付けていないんですか?)など、見学について聞かれるかもしれません。

We're not open for tours.
(見学は受け付けてないんです)

We are not accepting visitors this season.
(この季節は見学を受け付けていません)

Of course. Let’s show you around the brewery.
(もちろんやってますよ。館内をご案内します)

さらに、観光客のお客さんからよく聞かれるのが、Are there any bars around here offering sake?(この辺で日本酒を飲めるお店はある?)という質問です。やはり、日本を訪れたら美味しい食事とともに日本酒を飲んでみたいものですよね! Googleマップを見ながら、「Here! Here!(ここ! ここ!)」と説明するくらいでもまったく問題ないので、周囲のおすすめ飲み屋さんの情報はぜひチェックしておきましょう。

まとめ

というわけで、今回はインバウンドに特化したシチュエーションを説明しました。そのほか、英語での日本酒の説明の仕方については、過去のシリーズも合わせてぜひご覧ください。

このほか、インバウンドのお客さんは、それぞれのお酒のストーリーや、日本酒に限らない日本の文化、お店の周りのことを質問してくることもあります。初めはまず簡単なところから始めつつ、いずれ雑談できるようになると、満足度が高まり、購入にもつながるはずですよ!

接客や英語学習に使えるカードができました!

第1回:「好みを聞く」はこちら

第2回:「味わいの表現」はこちら

第3回:「カテゴリごとの表現(吟醸・純米・本醸造など)」はこちら

第4回「カテゴリごとの表現(生酛・山廃、熟成酒など)」はこちら

第5回「カテゴリごとの表現(生酒・にごり酒)」はこちら

第6回「よく聞かれる質問」はこちら

第7回「インバウンド対応」はこちら

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