2020.09
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英語で日本酒を説明するための実用表現 (1) - 好みを聞いてみよう
日本酒の輸出が拡大するのにともない、世界の人々の日本酒への関心が高まっています。国内の酒販店や飲食店でも、海外から来たお客さんを相手にする機会は増えていくことでしょう。
このシリーズでは、私・木村咲貴が、アメリカ・サンフランシスコの酒販店「True Sake」の販売員として活動してきた経験をもとに、海外のお客さん相手に使える英会話をご紹介していきます。英語が苦手な人にとっては簡単で、英語が得意な人にとっては実用的なポイントがつかめる内容にしていますので、ぜひご参考にしてみてください。
第1回は、お客さんが「おいしい!」と思うお酒を選ぶために大切な「好み」を引き出す言葉を学んでいきましょう。今回は酒販店をイメージした会話が主になりますが、飲食店の方も応用可能です。
普段、どれくらい日本酒を飲むのか?(頻度・経験)
あなたのお店に、外国人のお客さんがやってきました。棚を眺めながら、お酒を選びたそうにしています。さて、どんなお酒をおすすめしてあげるとよいでしょうか。
ここでまず聞きたいのが、相手の経験値。日本酒が大好きで、ここでしか飲めないとっておきのお酒を買いたい! と思ってやって来た場合と、なんとなくお店に入ってみただけでまったく知識がない場合とでは、おすすめする内容も大きく変わってきますよね。
相手の経験値を聞くために便利なのが、こちらのセリフです。
Are you a sake drinker?
(日本酒飲みですか?=普段、日本酒は飲むんですか?)
こう尋ねると、「イエス! 僕はサケが大好きなんだ!」「そんなに詳しくはないんだけど、買ってみたくて」「全然わからない。ただ眺めてるだけ」なんて答えが返ってきます。
とはいえ、極めてアメリカンな尋ね方ではあるので、英語ネイティブではないアジアの人などであまりピンときていなさそうだったら、「Do you often drink sake?(日本酒はよく飲むんですか?)」「Do you like sake?(日本酒は好きですか?)」などと言い方を変えてみるとよいでしょう。
どんなお酒が好きなのか?
経験値がわかったら、相手が「どんなお酒をおいしいと思うのか」を掘り下げてみましょう。
日本酒が好きでよく飲むという人であれば、
Do you have any favorite brands?
(好きな銘柄はありますか?)
と聞いてみるのも一手。ここで好きな銘柄を教えてくれたら、
What do you like about that drink?
(そのお酒のどんなところが好きなんですか?)
と、詳しく聞いてみるとよいでしょう。
また、「What kind of flavors do you like?(どんな味わいが好きですか?)」 という質問も使えます。上級者の人は、 「Clean and crisp sake or full body and savory?(淡麗ですっきりしたお酒? それともフルボディで芳醇なもの?)」など、具体的な味わいの例を挙げて尋ねると、相手の舌の傾向がさらによくわかります(こうした味わいを表す英単語は、今後の記事で学んでいきましょう)。
とはいえ、日本人でもそうですが、自分の好みをきちんと言葉で表現できる人って、なかなかいないものです。自分がどんなお酒が好きなのか、お客さんが答えに迷ってしまった場合に使える質問がこちら。
What do you usually drink other than sake?
(日本酒以外には何をよく飲みますか?)
Beer, wine, whisky, gin… とお酒の名前を並べてみて、相手がwineと答えたらwhiteなのかredなのか、whiskyと答えたらscotchなのかburbonなのかなど、ヒントになりそうなキーワードを引き出してみましょう。
そして、意外と使えるのが、日本酒を飲むときの温度帯や、お酒を飲む場所についての質問です。
Do you like to drink sake warm or cold?(お燗と冷酒、どっちが好き?)
Where do you drink sake?(いつもはどこでお酒を飲むの?)
これを尋ねると、「サケ、好き! 詳しいよ!」と言っていた人が、実はチャイニーズ系のレストランでアツアツに温められたホット・サケの大ファンだった……なんてことが判明したりします。
お酒をどんな風に飲みたいのか?
お客さんが買ったお酒をおいしく楽しめるよう、「どんな風に飲むのか」というシーンや用途を確認するのはとても大切なことです。例えば、料理とのペアリング。
Do you want to pair the sake with food or just drink by itself?
(料理と合わせるの? それとも、お酒だけで飲むの?)
料理と合わせるという答えが返ってきたら、 「What kind of food?」(どんな料理?)と聞いてみましょう。この 「What kind of〜」という言葉、例えば寿司と言われたら「What kind of sushi?」(どんな寿司?)、肉と言われたら「What kind of meat?」(どんな肉?)と、具体的に掘り下げるのに便利な言葉です(そんなに詳しく決めていない! というケースも多いですが)。
また、先ほど出てきたお酒の温度帯を尋ねる「Do you like to drink sake warm or cold?(お燗と冷酒、どっちが好き?)」という質問も、シチュエーションにぴったりなお酒を選ぶ上でのポイントになります。相手にこだわりがない場合は、おすすめの温度帯を教えてあげましょう。
・Drink this chilled with a white wine glass.
(冷やして、白ワイン用のグラスで飲んでみて)
・This sake tastes the best at room temperature.
(このお酒は常温がいちばんおいしいですよ)
・You can warm it up.
(お燗もイケます)
そのほかの使える質問集
自分が飲むものではなく、誰かへのお土産である場合、お客さんから申告してくれるケースが多いですが、こちらから確認したい場合は「Is this sake a gift or for yourself?(プレゼント? それとも自分用?)」と聞いてみましょう。
また、このお酒ちょっと高いけど薦めたいな、というときに、「How much is your budget? / How much would you like to spend?(予算はいくら?)」と予算を確認してあげるのも重要です。
そのほか、サイズは「Which size?」、本数は「How many bottles?」と、「聞きたい部分」だけを強調すれば、十分伝わります。
最後に、海外から一時的に日本へ遊びに来ているお客さんに生酒をおすすめする場合は、相手の冷蔵環境を確認しなければなりません。
This sake should be refrigerated. Is that OK with you?
(これ、冷蔵保存しなきゃダメだけど大丈夫?)
「ホテルで飲むから大丈夫だよ」と言ってもらえれば問題ありませんが、「えっ! 国に持って帰ろうと思っていたのに」と言われたら別のお酒をおすすめした方がよいかもしれません。生酒の詳しい説明については、また別の記事で解説する予定です。
次回は、「味わいの表現」編。海外の人にお酒の味を伝えるときの心構えや、具体的な香り・味わいを表す単語をご紹介する予定です。お楽しみに!
接客や英語学習に使えるカードができました!
第1回:「好みを聞いてみよう」編はこちら
第2回:「味わいの表現」編はこちら
第3回:「カテゴリごとの表現(吟醸・純米・本醸造など)」編はこちら
第4回:「カテゴリごとの表現(生酛・山廃、熟成酒など)」編はこちら
第5回「カテゴリごとの表現(生酒、にごり酒)」編はこちら
第6回「よく聞かれる質問」はこちら
第7回「インバウンド対応」はこちら
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