江戸っ子にも愛された"飲む点滴"! - 甘酒の健康効果を学ぶ

”飲む点滴”や”飲む美容液”などと言われ、健康効果や美容効果に注目が集まっている「甘酒」。素早く栄養成分が摂れ、疲労回復効果も期待されることからアスリートの間でも人気のドリンクになっています。今回の記事では、甘酒にはどのような栄養成分が含まれているのか、そしてそれらの栄養成分がもたらす健康効果について解説します。

麹甘酒と酒粕甘酒の違い

「甘酒」には「麹甘酒」と「酒粕甘酒」の大きく分けて2つの種類があります。どちらも甘酒と呼ばれますが、作り方も味も全く異なります。まず「麹甘酒」と「酒粕甘酒」それぞれの特徴について紹介しましょう。

麹甘酒

「麹甘酒」は、日本酒造りのほか、味噌や醤油を造るのにも使われる「米麹」を使って作られる甘酒です。米と米麹を、麹菌が出す酵素の働きが活発となる60℃弱に保つことで、米に含まれるでんぷんが分解されブドウ糖やオリゴ糖に変化し、砂糖などを加えなくても自然な甘さ感じられる甘酒となります。

「麹甘酒」には”酒”の文字が当てられていますが、アルコールは含まれていません。 そのため、お酒が苦手な人や子供でも安心して飲むことができます。

酒粕甘酒

「酒粕甘酒」は、日本酒を製造するときに生まれる「酒粕」を使って作られる甘酒です。酒粕に水を加えて溶かしたもので、麹甘酒と違ってブドウ糖やオリゴ糖などの糖分をあまり含まないため、砂糖を加えることで甘みをつけています。

甘酒が苦手だという人がいますが、その多くは「酒粕甘酒」しか飲んだことなく苦手意識をもっているのかもしれません。酒粕には、アルコール分が残っているため、酒粕甘酒にもアルコールが含まれる可能があります。 お酒に弱い人や子供に与える際には気をつけるようにしましょう。

脳や腸の働き、疲労回復や美肌効果まで!様々な成分と健康効果

「酒粕甘酒」には、体内の油の排出を助ける「レジスタントプロテイン」というタンパク質の一種が含まれているなど、さまざま健康成分や効果があると言われています。しかし最近、飲む点滴と言われて注目されているのは「麹甘酒」です。「麹甘酒」には、ブドウ糖やビタミンB郡、アミノ酸、オリゴ糖など、栄養剤として使われる点滴とほぼ同じ成分が含まれています。ここでは「麹甘酒」に含まれる主な健康成分とその効果を紹介します。

ブドウ糖

麹甘酒の栄養成分のほぼ20%がブドウ糖と豊富に含まれています。ブドウ糖やオリゴ糖は、米麹や米に含まれるでんぷんが、麹菌に含まれる酵素の働きによって変化することで作られます。ブドウ糖は、人間の最も基本的なエネルギー源です。特に、脳がエネルギー源として使えるのはブドウ糖だけで、脳を正常に働かせるためにはブドウ糖が不可欠となっています。

オリゴ糖、食物繊維

オリゴ糖は、麹の酵素によって生み出されます。オリゴ糖は、胃で消化されずに腸まで届いて腸内細菌「善玉菌」のエサになります。また、麹甘酒には食物繊維も多く含まれているため、腸内環境を整えて便性や便通の改善効果が期待できると言われています。

ビタミンB群

米麹には、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、葉酸などのビタミンB群が多く含まれています。そのため米麹を使う甘酒にも多くのビタミンB群が含まれます。ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝に関係して、疲労回復や美肌効果が期待できる と言われています。

その他の栄養成分

麹菌は、アミラーゼやプロテアーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼなど30種類以上の酵素を生成すると言われています。これらの酵素には、でんぷんやたんぱく質、脂肪を効率よく分解・吸収し、吸収した栄養を効率よくエネルギーに変える働きがあります。また、ナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などのミネラルも豊富です。

健康効果を意識した甘酒の飲み方 - できれば手作りで、適量を

麹甘酒に含まれる麹菌や酵素は、高温になると死んでしまいます。そのため、市販されている麹甘酒でも高温殺菌されているものは、麹菌や酵母の健康効果が薄まってしまう可能性があります。麹甘酒は、米と米麹があれば家庭でも簡単に手作りすることができます。 健康のために麹甘酒を飲もうと思っている人は自分で作ってみてはいかがでしょうか。

甘くて美味しく栄養豊富で健康効果が期待される麹甘酒ですが、飲み過ぎには注意しましょう。ブドウ糖は吸収が良いため血糖値が急激に上昇してしまいます。またカロリーも高いため摂り過ぎは肥満の原因ともなります。麹甘酒を健康的に楽しむには、1日に200ml程度に抑えるようしましょう。

江戸時代の甘酒文化 – 古くから知られる健康効果

ご紹介してきたとおり優れた健康効果があると最近注目されている甘酒ですが、その歴史は古く古墳時代にまで遡ります。「日本書紀」には天甜酒(あまのたむざけ)という記述があり、これが甘酒の起源と言われています。広く庶民が甘酒を飲むようになったのは江戸時代に入ってからで、夏になると甘酒売りの人たちが甘酒を売り歩いていたそうです。

今では寒い冬に飲むイメージがある甘酒ですが、江戸時代には夏に冷やして飲んでいた そうで、俳句では夏の季語となっています。当時は、この記事で紹介したような様々な栄養が含まれているという認識はまだなかったと思われますが、経験から甘酒を飲むと元気がでると知っていて、夏バテの予防に飲まれていた ようです。

まとめ

今回は、麹甘酒の栄養成分と健康効果についてご紹介しました。栄養が豊富なことから、古くから夏バテを予防する飲み物として庶民に愛されてきた「甘酒」。夏は冷やして、冬は温めて味わいましょう。

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