2020.02
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江戸っ子にも愛された"飲む点滴"! - 甘酒の健康効果を学ぶ
”飲む点滴”や”飲む美容液”などと言われ、健康効果や美容効果が注目されている「甘酒」。素早く栄養成分が摂れ、疲労回復効果も期待されることから、アスリートの間でも人気のドリンクになっています。今回の記事では、甘酒にはどのような栄養成分が含まれているのか、そして、それらの栄養成分がもたらす健康効果について解説します。
麹甘酒と酒粕甘酒の違い
「甘酒」には、大きく分けて「麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2つの種類があります。どちらも甘酒と呼ばれますが、作り方も味も全く異なります。まず「麹甘酒」と「酒粕甘酒」それぞれの特徴について見ていきましょう。
麹甘酒
「麹甘酒」は、日本酒造りのほか、味噌や醤油を造るのにも使われる「米麹」を使って作られる甘酒です。米と米麹を混ぜたものを、麹菌が出す酵素の働きが活発になる60℃弱に保つことで、米に含まれるでんぷんをブドウ糖やオリゴ糖に分解するため、砂糖などを加えなくても自然な甘さ感じられる甘酒になります。
「麹甘酒」には”酒”の文字が当てられていますが、アルコールは含まれていません。 そのため、お酒が苦手な人や子供でも安心して飲むことができます。
酒粕甘酒
「酒粕甘酒」は、日本酒を製造するときに生まれる「酒粕」を使って作られる甘酒です。酒粕に水を加えて溶かしたもので、麹甘酒と違って、ブドウ糖やオリゴ糖などの糖分をあまり含まないため、砂糖などを加えることで甘みをつけています。
甘酒が苦手だという人がいますが、その中には「酒粕甘酒」しか飲んだことがなく、苦手意識をもっている人もいるかもしれません。酒粕には、アルコール分が残っているため、酒粕甘酒にもアルコールが含まれる可能があります。 お酒に弱い人や子供は気をつけるようにしましょう。
脳や腸の働き、疲労回復や美肌効果まで!様々な成分と健康効果
一般的に飲む点滴と言われて注目されているのは「麹甘酒」です。「麹甘酒」には、ブドウ糖やビタミンB群、アミノ酸、オリゴ糖など、栄養剤として使われる点滴とほぼ同じ成分が含まれています。
しかし、「酒粕甘酒」も同様にビタミンB群、アミノ酸のほかに、各種ミネラルや食物繊維など、「麹甘酒」とはまた違った成分が含まれ、さまざま健康成分や効果があると言われています。
ここでは「麹甘酒」、「酒粕甘酒」それぞれに含まれる主な健康成分とその効果を紹介します。
麹甘酒と酒粕甘酒に共通で含まれる健康成分
食物繊維
麹甘酒、酒粕甘酒ともに食物繊維が多く含まれているため、甘酒は便性や便通の改善効果が期待できると言われています。さらに麹甘酒の場合には、のちほど紹介するオリゴ糖の効果で腸内環境を整えることもできます。
ビタミンB群
米麹には、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、葉酸などのビタミンB群が多く含まれています。そのため、米麹が使用されている甘酒にも多くのビタミンB群が含まれます。ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝に関係して、疲労回復や美肌効果が期待できる と言われています。
その他の栄養成分
麹菌は、アミラーゼやプロテアーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼなど30種類以上の酵素を生成すると言われています。これらの酵素には、でんぷんやたんぱく質、脂肪を効率よく分解・吸収し、吸収した栄養を効率よくエネルギーに変える働きがあります。また、ナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などのミネラルも豊富です。
麹甘酒独自の健康成分
ブドウ糖・オリゴ糖
麹甘酒の栄養成分のほぼ20%がブドウ糖と、豊富に含まれています。ブドウ糖も、オリゴ糖と同じく、米や米麹に含まれるでんぷんが、麹菌に含まれる酵素の働きによって変化することで作られます。**ブドウ糖は、人間の最も基本的なエネルギー源です。特に、脳がエネルギー源として使えるのはブドウ糖だけで、脳を正常に働かせるためにはブドウ糖が不可欠です。
またオリゴ糖は、麹の酵素が米や米麹のでんぷんを分解することでによって生み出されます。オリゴ糖は、胃で消化されずに腸まで届いて、腸内細菌「善玉菌」のエサになります。これによって増えた善玉菌が、腸内環境を整えてくれるのです。
一方、酒粕甘酒は砂糖などを加えて甘味をつけているので、ブドウ糖やオリゴ糖はあまり多く含まれていません。
酒粕甘酒独自の健康成分
レジスタントプロテイン
酒粕にはレジスタントプロテインと言われる難消化性タンパク質が多く含まれています。 レジスタントプロテインは、食物繊維に似た働きによる整腸効果や、脂質を吸着させてそのまま体外に排泄させ、コレステロール値の抑制や肥満を抑制する作用があると考えられています。
健康効果を意識した甘酒の飲み方 - できれば手作りで、適量を
麹甘酒に含まれる麹菌や酵素は、高温になると死んでしまいます。そのため、市販されている麹甘酒でも、高温殺菌されているものは、麹菌や酵母による健康効果が薄まってしまう可能性があります。麹甘酒は、米と米麹があれば家庭でも簡単に手作りすることができます。 健康のために麹甘酒を飲もうと思っている人は、自分で作ってみてはいかがでしょうか。
作り方
麹甘酒の場合は、ヨーグルトメーカーや炊飯器の保温機能を使い、60℃前後を8時間ほどキープした環境に米麹と炊いたお米を一緒に置くことで、甘酒を作ることができます。
一方、酒粕甘酒の場合は、酒粕をお湯に溶かし、砂糖などで甘みを足して作ります。酒粕を溶かすため、またアルコールを飛ばすためにも、沸騰から10分ほどは煮立たせましょう。 酒粕甘酒に含まれる成分は加熱しても変化が少ないため、高温まであたためることができます。熱々の甘酒で温まりたい場合は、酒粕甘酒がおすすめです。
量
甘くて美味しく、栄養豊富で健康効果が期待される麹甘酒ですが、飲み過ぎには注意しましょう。ブドウ糖は吸収が良いため、血糖値が急激に上昇してしまいます。また、カロリーも高いため、摂り過ぎは肥満の原因ともなります。麹甘酒を健康的に楽しむには、1日に200ml程度に抑えるようにしましょう。
タイミング
基本的にはどの時間帯に飲んでも問題ありません。朝だと効率的なエネルギー補給になり、昼だと集中力アップにつながり、夜に温かい甘酒を飲むとリラックス効果が期待できます。
また、普通に飲むだけでなく、ヨーグルトや牛乳と混ぜて飲んだり、凍らせてシャーベットにして楽しむこともできます。
保存方法・賞味期限
作ったすぐに飲まずに甘酒を保存する場合、冷蔵で保管しましょう。長期間保管したい場合は、冷凍することもできます。
なるべく早く飲むに越したことはありませんが、冷蔵保存の場合、麹甘酒は2週間程度、酒粕甘酒は2、3日を目安に飲みきるようにしましょう。冷凍保存の際は、どちらも1ヶ月を目安に保存できます。
江戸時代の甘酒文化 – 古くから知られる健康効果
ご紹介してきたとおり優れた健康効果が注目されている甘酒ですが、その歴史は古く、古墳時代にまで遡ります。「日本書紀」には天甜酒(あまのたむざけ)という記述があり、これが甘酒の起源と言われています。広く庶民が甘酒を飲むようになったのは江戸時代に入ってからで、夏になると甘酒売りの人たちが甘酒を売り歩いていたそうです。
今では寒い冬に飲むイメージがある甘酒ですが、江戸時代には夏に冷やして飲んでいた そうで、俳句では夏の季語となっています。当時は、この記事で紹介したような様々な栄養が含まれているという認識はありませんでしたが、経験から甘酒を飲むと元気が出ると知っていて、夏バテの予防に飲まれていた ようです。
商品紹介
手作りでつくることもできる甘酒ですが、最近はスーパーなどでも多くの種類の甘酒が販売されており、手軽に手に入れることができます。ここでは、いくつか代表的な商品をご紹介します。
原田 麹甘酒
銘柄「原田」を醸すはつもみぢ(山口県)の麹甘酒です。山口県産山田錦を100%使用し、贅沢な一本に仕上げています。
【麹甘酒】麹仕立て 獺祭甘酒 825g
銘柄「獺祭」を醸す旭酒造(山口県)の麹甘酒です。山田錦の等外米を50%まで精米しており、すっきりとした甘さで飲みやすい仕上がりです。スーパーなどで販売されていることもあります。
【酒粕甘酒】大関甘酒190g(瓶)
通称「ワンカップ大関」こと「上撰 金冠 ワンカップ」で有名な大関酒造(兵庫県)の酒粕甘酒です。蔵元ならではのしぼりたて酒粕を使用しています。一部のコンビニや100円ショップで購入可能、瓶カップ容器で手軽に飲めます。
まとめ
今回は、甘酒の栄養成分と健康効果についてご紹介しました。栄養が豊富なことから、古くから夏バテを予防する飲み物として庶民に愛されてきた「甘酒」。夏は冷やして、冬は温めて味わいましょう。
参考
決定版! 甘酒レシピ。簡単&失敗しない基本の作り方(最終閲覧日:2023/01/27)
米麹と酒粕のうれしいヒミツ♪(最終閲覧日:2023/01/27)
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