2021.08
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日本酒と焼酎の違いとは?原料や作り方から糖質、カロリーの違いまで
日本酒と焼酎は、ともに日本で発祥した伝統的なお酒です。全国に酒蔵があること、麹を使って造られることなど、共通点が多くありますが、味は全く異なりますよね。
日本酒と焼酎は、そもそもどのような違いがあるものなのでしょうか。この記事では、日本酒と焼酎の原料や成分、飲み方の違いについて解説します。
醸造酒と蒸留酒とは?違いは造り方にあり
世界のさまざまなお酒を製造方法で分類すると、大きく醸造酒と蒸留酒に分けることができます。
醸造酒とは、糖を含む原料を酵母によりアルコール発酵させて造ったお酒です。 日本酒は醸造酒に含まれます。ちなみに、ワインやビールなども醸造酒です。
蒸留酒とは醸造酒を蒸留したものです。アルコールが水よりも蒸発しやすいことを利用し、加熱して気化した成分を集めて、再度冷却して液体に戻すことで元の醸造酒よりもアルコール度数の高いお酒を造ります。 焼酎は蒸留酒に分類されますが、他にもウイスキーやウォッカ、ジンなどもこちらに該当します。
日本酒は醸造酒ですが、原料である米には糖分が含まれていません。そこで米のでんぷんを麹で分解して糖を作り、その糖を酵母がアルコールに変えることで造られています。焼酎も米などに含まれるでんぷんを麹と酵母でアルコールに変えて醸造するまでは同じですが、その後蒸留を経て完成します。
日本酒と焼酎、それぞれの造り方を簡略化して図解すると以下のようになります。
日本酒のもう少し詳しい造り方は、以下の記事でも解説しています。
原料の違いは?日本酒は米、焼酎は多種多様
日本酒と焼酎には共通している原料もありますが、異なる点も多くあります。具体的にその違いを確認していきましょう。
日本酒の主な原料は、米と米麹、水です。「純米酒」「純米吟醸」「純米大吟醸」というように「純米」と表記する日本酒は、この3つの材料だけで造られる必要があります。
日本酒のそのほかの代表的な原料に、「醸造アルコール」があります。醸造アルコールとは、サトウキビなどを原料とした純度の高いアルコールです。本醸造酒や吟醸酒などは米と米麹、水に加えて醸造アルコールが含まれています。
焼酎の原料は、麦や米、芋のいずれかと麹と水であることが一般的です。麹については、麦焼酎の場合には麦麹または米麹が、その他の焼酎の場合には基本的には米麹が使われます。日本酒にくらべて原料の幅が広く、変わったところでは米や麦の代わりに蕎麦や栗、昆布などを原料にしたものもあります。
糖質やアルコール度数、カロリーの違いも
日本酒と焼酎では、アルコール度数や含まれる糖質の量、カロリーなどに差があります。それぞれどのように違うのか順番に見ていきましょう。
日本酒と焼酎のアルコール度数
アルコール度数は基本的に日本酒の方が低く、焼酎の方が高くなっています。これは、焼酎は蒸留によってアルコールの濃度が高くなるためです。
日本酒のアルコール度数は、法律により22度未満と定められています(酒税法第3条7号)。日本酒の一般的なアルコール度数は15〜16度程度、原酒などのアルコール度数が高いタイプでも20度前後が上限です。
一方、焼酎のアルコール度数は、法律により36度未満(連続式蒸留焼酎)または45度未満(単式蒸留焼酎)と定められています(酒税法第3条8号および9号)。焼酎の一般的なアルコール度数は20〜25度、高いものでは40度前後のものもあります。
日本酒と焼酎の糖質、カロリー
糖質については、日本酒には含まれていますが、焼酎には含まれていません。
焼酎の場合、蒸留によってアルコールと水や香り成分以外は基本的に取り除かれているため、糖質はゼロになります。日本酒には100gあたり3.6gの糖質が含まれています。
(文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
カロリーについては、同じ重量で比較すると日本酒の方が低いです。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」による、100gあたりのカロリーは、以下のようになっています。
・純米酒:102kcal
・連続式蒸留しょうちゅう(甲類):203kcal
・単式蒸留しょうちゅう(乙類):144kcal
上記のように、同じ量を飲むのであれば日本酒の方がカロリーが低くなっています。一方、先ほど見たように日本酒と焼酎は含まれるアルコールと糖質の量に差があります。
アルコールにもカロリーがありますが、これは「エンプティカロリー」と言われることがあるように、栄養成分がなく、熱として分解されやすいものです。そのため、単純にカロリーで比較するよりもアルコール分やその他の栄養成分を考慮し、健康に配慮しながら飲むようにしましょう。
日本酒と「太りやすさ」については、こちらの記事でも紹介しています。
日本酒と焼酎の飲み方をご紹介
日本酒と焼酎では飲み方も異なります。
日本酒は基本的に割らずにストレートで飲まれます。冷酒や常温、燗と幅広い温度で飲まれるのも特徴です。温度によって香りの立ち方や風味が変化するので、同じ日本酒でも味わいがざまざまに変わります。日本酒の中でも、原酒などのアルコール度数が高く、味わいが濃いものはロックやソーダ割りで楽しむことがあります。
焼酎は、ストレートやロック、水割り、お湯割り、炭酸割り、お茶割りなど多様な飲み方があります。アルコール度数が高いので、割って楽しむ方法が充実しているのが特徴です。
また近年では、日本酒も焼酎もカクテルの素材として使われることが増えてきました。バーなどでそういったカクテルがあれば、注文してみると新しい味わいが楽しめるかもしれません。
日本酒カクテルについては、こちらの記事で作り方を紹介しています。
日本酒と焼酎、それぞれの違いを理解して飲み分けてみよう
この記事では、日本酒と焼酎の違いをご紹介しました。同じ日本のお酒でも、原料や成分、飲み方などさまざまな違いがあることがお分かりいただけたかと思います。
共通点はあっても、違いの多い焼酎と日本酒。特に飲み方の違いを知っておくと、シーンによって飲み分けることもできそうです。日本酒派の人も焼酎を、焼酎派の人も日本酒を、ときどき飲んでみると、新たな発見があるかもしれません。
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