2020.05

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自宅でお酒のことを学ぼう!日本酒・お酒の書籍紹介 -「日本酒ペアリング」編

二戸 浩平  |  日本酒・お酒関係書評

飲食店さんでは、お店の方がお料理に合う日本酒を提案してくれますが、自宅飲みではなかなかうまく合わせられない、なんてことはありませんか?料理と日本酒を合わせる「ペアリング」についてはSNSやWebサイトでもTips的なコツは紹介されていますが、体系的に学ぶためには、やはり書籍が最適。この機会に、今回ご紹介する3冊からぜひ学んでみて、家でも素敵な日本酒体験を味わってみてください。

基礎から学べる『日本酒ペアリングがよくわかる本』

ペアリングの基本、そして作りやすい家庭料理とのペアリングを学ぶなら葉石 かおり監修『日本酒のペアリングがよくわかる本』(シンコーミュージック) が最適です。

日本酒のペアリングがよくわかる本

「日本酒の特徴を4つに分類する」など日本酒の特徴の基礎から始まり、それぞれのタイプに合う食材や調理方法といった基本的な理論から解説してくれ、具体的な料理とそのレシピ例を紹介する、といった形で本の内容に従うだけで、手軽に分かりやすいペアリングが体験できます。

日本酒の4分類も、いわゆる「爽酒・薫酒・醇酒・熟酒」をそれぞれ「軽快タイプ」「フルーティタイプ」「旨口タイプ」「熟成タイプ」と 分かりやすい言葉 で言い換えてくれており、それに合わせるのも「焼パプリカのマリネ」「手羽先の甘辛煮」「ささみと塩昆布の和え物」「鯖の竜田揚げ」など、 家庭でも作りやすいお料理が中心 です。

そうした親しみやすい内容でありながら、それぞれの日本酒タイプに適した酒器や、にごり酒の「テクスチャー」にあわせたペアリング方法、そして飲食店などでペアリングを提案するプロの方々へのインタビューといった内容も含まれているので、 この1冊だけでも基礎から深い内容までを学ぶことができます。

『日本酒のペアリングがよくわかる本』(シンコーミュージック)

特徴的な味わいをもとにしたペアリングを提案『日本酒マリアージュ』

稲垣 知子著『日本酒マリアージュ―お酒がもっと美味しくなる、日本酒×料理の組み合わせ術』(誠文堂新光社)は、

  1. フルーツ&ミネラル
  2. ハーブ&スパイス
  3. ミルク&スイートフレーバー

と、3つの分類をしたうえで、お料理の特徴とお酒の特徴を合わせるペアリングを提案しています。 たとえば「フルーツ」では、「桃」を思わせる香りを持つ「而今 純米吟醸 山田錦」と「冷製 桃のパスタ」を合わせる、などお酒とお料理の特徴的な味わいをフックにした組み合わせ例が紹介 されています。

日本酒マリアージュ―お酒がもっと美味しくなる、日本酒×料理の組み合わせ術

1つのお酒に対して、複数のお料理が紹介されているのもこの書籍の特徴の1つで、たとえば先ほどの「而今 純米吟醸 山田錦」ではアプリコットジャムを使った「白身魚のカルパッチョ」と生クリームを使った「カニコロッケ風グラタン」とのペアリングも紹介されており、ペアリングの「幅」について学ばせてくれます。

2012年の出版と、今回ご紹介する書籍の中では一番過去に出版されたもの ですが、料理のスパイスやハーブの風味と日本酒の熟成香や新酒生酒のフレッシュな香りをあわせるなど、 今読んでも新しく感じる組み合わせ例が豊富 です。

『日本酒マリアージュ―お酒がもっと美味しくなる、日本酒×料理の組み合わせ術』(誠文堂新光社)

新しい視点と科学的な理論を提供してくれる『最先端の日本酒ペアリング』

最後にご紹介するのは、千葉麻里絵・宇都宮仁著『最先端の日本酒ペアリング』(旭屋出版)です。日本酒ファンなら知らない人はいない・・・といえる東京・恵比寿の日本酒バー「GEM by moto」の千葉麻里絵さんの著書で、ご存知の方も多い書籍だと思いますが改めて紹介させていただきます。

最先端の日本酒ペアリング

序盤にある「千葉麻里絵の考えるペアリング理論9」では「1.似たもの同士」「2.対照的なもの同士」「3.味の濃淡を合わせる」といった広く知られる理論に加え、ソースのように料理に酒を重ねる「4.味を重ねる」、既存の料理の要素を分解して酒+料理で再構築する「7.記憶にある香味の再構築」など 新鮮な驚きのある理論 が紹介されています。

個人的に印象深かったのは、「誌上ペアリングレッスン 鰹に日本酒を合わせたら?」という企画で、鰹の刺身に、醤油、塩、レモン、シソ、山椒、クレソン、ミント・・・とさまざまな薬味・調味料を組み合わると、それぞれ相性の良いお酒が変わるという実験過程が掲載されていたことでした。これはぜひ誌上で読むことをおススメします。

最先端の日本酒提供現場で得られた、このような新鮮な視点に加えて、本書の内容に確固たる基盤を提供してくれるのが元国税局/酒類総合研究所の研究者で、酒類の官能評価の第一人者である宇都宮 仁先生の科学的な解説です。巻末に紹介されている「ペアリングのための日本酒講座」、そのなかでも日本酒の香りの表現とその由来となる成分38種の紹介は、「人によって異なる感覚」ではなく、「多くの人が理解できる共通言語」としての日本酒表現を学ぶうえで必読 といえるでしょう。

『最先端の日本酒ペアリング』(旭屋出版)

まとめ

今回、自宅で日本酒を楽しむ手段として「日本酒ペアリング」を学ぶ書籍を紹介しました。それぞれの書籍で紹介された料理や理論に従って日本酒との相性を考えていけば、さらに楽しく日本酒を飲むことができるようになるでしょう。

・・・一方で、プロである飲食店さんでの体験はやはり格別なもの。早く、大好きなお店に気軽に訪れられる日が来てほしいですね。再びお店を訪れる前に、自分でもペアリングの実践をしていると、そのお店の凄さがより一層理解できるようになっていることでしょう。