2019.01
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酒米(酒造好適米)とは? - 食用米との違いや特徴を徹底解説
日本酒はお米と水から造られています。
その日本酒の原料となるお米は、私たちが普段口にするような食用米を用いるケースもありますが、上質なお酒を造りたい場合は「酒米(さかまい)」または「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」と呼ばれる日本酒を造るのに特化したお米を使うことが理想とされています。
なぜ日本酒造りには酒米が好まれるのか、酒米にはどのような特徴があるのかを説明いたします。
酒米の特徴
酒米には以下のような特徴があります。これらは日本酒を造る上で、理想的なお米の条件でもあります。
- 大粒で割れにくい
- タンパク質、脂質が少ない
- 心白がある
- 吸水性がよく溶けやすい
- 外側が硬く、内側が軟らかい
お米の外側には「タンパク質」や「脂質」など日本酒を造る上で悪い影響をおよぼす可能性のある物質が含まれています。したがって、外側部分は通常ある程度削り取っていきます(精米)。しかし、その際にお米が割れてしまうと外側部分を適切に削り取ることができません。よって、大粒で割れにくい酒米が好まれるのです。
心白(しんぱく)とは、お米の中心部分にあるデンプン質のかたまりのことをいいます。このデンプン質は密度が低く、すき間が多く空いているため光が乱反射して白く不透明に見えます。心白は食用米には存在しません。このデンプン質にすき間が多く空いているために、「麹造り」において麹菌をお米に食い込ませやすく、効率的にお米を溶かす(糖化)ことができるのです。
また良い酒米は外側が硬く、内側が軟らかい(外硬内軟(がいこうないなん))という特徴を持っています。外硬内軟であることで、麹を食い込ませやすく、また日本酒を造る上で好ましい成分をお米の内側に蓄えることができるのです。
酒米は高価格
酒米を育てるには、以下のような厳しい条件を持った環境が必要とされています。
- 一日の寒暖の差が大きい
- 十分な栄養を含んだ土壌である
- 十分に稲と稲の間隔を空ける
寒暖の差が大きいと、粘り気がありデンプン質を多く含むお米に育ちやすいのです。寒暖の差が大きいということで、栽培場所としては山間部が理想とされています。
また、酒米は大粒で食用米よりも多くデンプン質を含んでいます。酒米の稲穂は食用米よりも背丈が大きく、栄養も多く必要とします。よって、栄養が豊富な土壌で、日当たりや通気性を高めて光合成をしやすくするため、十分な間隔を空けるのです。
以上のように、酒米は食用米よりも厳しい条件下で栽培しなければなりません。そのため、価格は食用米よりもはるかに高価で、平均すると約2倍以上の価格になります。
酒米の紹介
最後に酒米にはどのような種類があるか見ていきましょう。日本酒のラベルにも書かれていることがあるので、目にしたことのある方もいるのではないかと思います。
山田錦(やまだにしき)
山田錦は、もっとも多く用いられている酒米で、「酒米の王様」とも称されています。主に兵庫県で栽培されていますが、県外でも多様な地域で栽培が行われています。
山田錦は「米粒が大きい」「心白が大きい」「割れにくい」など酒米として理想的な特徴を持っています。高精白にも耐えるため、大吟醸や吟醸造りに多く使われています。
五百万石(ごひゃくまんごく)
五百万石は、新潟県で主に生産されている酒米です。酒米の生産量としては山田錦に次いで2位です。
五百万石は、心白は大きいのですが割れやすいという欠点を持っているので、高精白の大吟醸などの造りにはあまり向いてないとされています。五百万石で造られた日本酒は、スッキリしてフルーティーな味わいを持つ傾向があり、新潟の日本酒の特徴を形作る一因となっているとも言えます。
雄町(おまち)
雄町は、主に岡山県で栽培されている酒米です。
雄町の生産量は酒米全体の約2%程度ですが、「オマチスト」と呼ばれる熱狂的な雄町ファンが存在することで知られています。雄町で造られた日本酒は、米の風味のある濃醇でしっかりとした味わいになる傾向があります。
まとめ
酒米(酒造好適米)は、日本酒造りに適した特徴を持つように、通常の食用米よりも厳しい条件下で栽培されています。また、上記で紹介したもの以外にも約100種類の酒米が存在します。酒米を使用している日本酒では、どの酒米を使っているかラベルに書いてあることが多いので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
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