2020.04

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栄養の宝庫、使い方も多彩! - 話題の発酵調味料 酒粕の種類と活用方法を学ぶ

田口 忠臣(都良(TORA))  |  日本酒を学ぶ

栄養豊富で、健康や美容に効果が期待されると最近話題の「酒粕」。しかし、カラダに良いというイメージはあるけど、どんな風に使ったらいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな酒粕の種類や栄養成分と効果、そして活用法や調理法について解説します。

酒粕とは

酒粕のイメージ画像

日本酒を造る工程には、発酵熟成したもろみを搾って日本酒と搾りかすに分離する「上槽」と呼ばれる工程があります。この工程後に残った搾りかすが「酒粕」です。

もともと、日本酒のもろみは米と米麹、水をもとに酵母の力でアルコール発酵をさせたものです。つまり上槽後に液体である日本酒を分離して残るのは、 米と米麹が発酵したもの ということになります。搾ったあとの酒粕にも液体である日本酒の成分は少し残っているので、アルコールも含まれています。

酒粕に含まれる健康成分と期待される効果

酒粕は非常に栄養価が高く、栄養成分としてはたんぱく質や炭水化物、食物繊維、ビタミンB群などが豊富です。また他にも、ペプチドやアミノ酸などの健康成分も含まれています。酒粕の主な栄養成分とその効果については次の通りです。

ビタミンB群

ビタミンB群とは、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの合計8種のことで疲労回復効果が期待されると言われています。主なビタミンBの体内での役割は次の通りです。 ※( )内は酒粕100g当たりの数値

参考:文部科学省食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=17_17053_7

ビタミンB1(0.03mg)

糖質の代謝に関与しているために、疲労回復に効果が期待できるビタミンです。また、皮膚や粘膜の健康を助ける役割もしています。

ビタミンB2(0.26mg)

糖質、脂質、たんぱく質の代謝を支える働きをしていて、スポーツなどでエネルギーをたくさん消費する人やダイエット中の人は積極的に摂取したいビタミンです。

ナイアシン(2.0mg)

ビタミンB6とB1の働きをサポートして、糖質や脂質、たんぱく質の代謝やエネルギー産生の際に働く酵素を補助しています。

パントテン酸(0.48mg)

コエンザイムAの構成成分で、糖質、脂質、たんぱく質の代謝とエネルギー生産において中心的な役割を担います。また、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きもしています。

葉酸(170μg)

ビタミンB12と協力して赤血球の健全な生成を助ける役割を担っています。

ペプチド

ペプチドは、2個以上のアミノ酸がつながった状態のものです。ペプチドは動物由来のものが多いですが、酒粕に含まれるペプチドには植物由来であり大手の酒造会社が精力的に研究を進めています。その効果には、体質改善によって血圧上昇を防止働きが期待できるとされています。

参考:月桂冠総合研究所 酒「粕」も百薬の長 酒粕から血圧を下げるペプチド
https://www.gekkeikan.co.jp/RD/health/health04/

食物繊維

酒粕100gには食物繊維が5.2g含まれています。食物繊維は、小腸での栄養の吸収速度を緩やかにしたり、便秘の解消を促すなどの働きがあると言われています。そのためダイエット効果や美肌効果が期待できるとされています。

その他の健康成分

酒粕には上記の他にも、血管拡張作用により肩こりや頭痛、発毛促進などが期待されると言われる「アデノシン」が含まれています。また、加齢による骨の分解を促す酵素である「カテプシンL」の働きを抑える働きがあり骨粗鬆症予防にも期待されています。

酒粕の3つの種類と特徴

酒粕には、その形状によって「板粕」「練り粕」「バラ粕」に分類されます。それぞれの特徴は以下の通りです。

板粕

板粕のイメージ画像

平たく四角い板状をしている酒粕です。自動圧搾機を使い日本酒を搾ると酒粕が板状になって残ります。これをカットしたものが板粕です。そのままでは固いため料理で使う際には、まず溶かしてペースト状にする必要があります。

溶かし方は、30~40℃のぬるま湯に適当な大きさにちぎった板粕を入れて2時間ぐらい放置する方法 や、耐熱容器に板粕と水を入れて電子レンジで加熱する方法 などがあります。その後、ブレンダーや泡立て器、それらがなければスプーン等でよく混ぜると、ペースト状になり使いやすくなります。

参考:酒粕ペーストで、もっと自在に酒粕を使いこなそう!!

練り粕

練り粕のイメージ画像

練り粕は、板粕やバラ粕を練り上げてやわらかくしたものです。ペースト状になっているため、溶けやすく肉や魚、野菜などを漬けこむ際に使われます。練り粕を半年以上熟成発酵さると、麹菌が酒粕中のでんぷんを糖化させ、茶色くコクや甘みが増した状態になります。奈良漬けや熟成酒のようなクセのある風味も感じられます。この酒粕は踏込粕とも呼ばれます。

バラ粕

バラ粕のイメージ画像

バラ粕は、自動圧搾機からこぼれたものや、柔らかくて板状にならなかった酒粕です。板粕と品質的には同じですが、板粕よりも柔らかく溶かしやすいため、使いやすいという特徴があります。

酒粕の活用方法

栄養成分が豊富で、健康にもよい酒粕は、いろいろな調理法で利用されています。伝統的なものから、最近流行りの食べ方まで代表的な調理法をご紹介します。

そのまま焼いて食べる、パンなどに塗る

酒粕をそのまま焼いて食べる方法は、古くからの定番の食べ方です。 適当な大きさにちぎった板粕やバラ粕をフライパンやオーブントースターで焼き目がつくまでこんがりと焼きます。 焼きあがったら好みで砂糖や醤油をつけて食べても美味しく頂けます。また、練ってペースト状にした酒粕をパンに塗り焼く酒粕トーストも人気です。

酒粕に含まれる健康成分の中でも酵母は、熱に弱いので加熱すると死滅してしまいます。そのため、酒粕は生で食べる方がより健康効果が期待できます。ペースト状にした酒粕を加熱せずにヨーグルトやアイスクリームに混ぜて食べる方法もあります。

肉、魚などを漬ける

魚の粕漬けのイメージ画像

酒粕を使った粕漬けは、家庭でも簡単に作ることができます。 粕漬けを作るには、まず「粕床(かすどこ)」を用意します。 粕床のつくり方は以下の通りです。

  1. 酒粕100gに対して焼酎またはみりん50mlを耐熱容器に入れます。
  2. ラップをせずに電子レンジで40秒ほど加熱します。
  3. しっかりとかき混ぜてペースト状になったら粕床の完成です。

粕床ができたら、粕漬けを作ります。 1.粕漬けにする食材の水分をよく切ります。 2.食材全体に酒粕が当たるように、粕床に沈めます。 3.漬け込み時間は24時間以内が目安です。 4.粕床から取り出して、水洗いなどせずに粕を手で取り除くようにして、肉や魚は加熱調理して、野菜はそのまま頂きます。

料理に入れる - 粕汁、酒粕パウンドケーキ、酒粕ディップなど

粕汁のイメージ画像

酒粕を使った料理で定番なのは酒粕汁です。 味噌汁に酒粕を加えると、コクや風味が増すだけでなく体が温まります。 寒い冬には人気の料理ですね。酒粕を使った甘酒も冬の定番です。酒粕はスイーツに使っても、特有のコクや風味が楽しめます。 パウンドケーキやチーズケーキに酒粕を加えて みてはいかがでしょうか。

酒粕を使ったおつまみも、ぜひ作ってみてください。 酒粕に適量のクリームチーズやはちみつ、パセリを混ぜた「酒粕ディップ」 は、日本酒はもちろんワインのおつまみとしてもおすすめ。クラッカーやスティック状の野菜につけて楽しみましょう。また、 しっかりと水切りした豆腐を、味噌と練り粕を混ぜた味噌床に漬け込む「豆腐の酒粕味噌漬け」 もお酒にぴったりのおつまみです。

まとめ

栄養成分が豊富で健康効果や美容効果に期待ができ、料理に使えばコクと風味を増して美味しくしてくれる酒粕。まさに万能調味料ですね。今回は、酒粕を使った料理もご紹介しましたが、工夫次第ではもっといろいろな料理に活用できます。ぜひ、みなさんも自分なりにアレンジして、酒粕を楽しんでみてください!