お酒に詳しくなくても大丈夫!お祝い事で贈る日本酒の選び方を丁寧に解説

2021.12

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お酒に詳しくなくても大丈夫!お祝い事で贈る日本酒の選び方を丁寧に解説

山崎 まりあ  |  日本酒を学ぶ

大切なひとや目上の方へのお祝いにぴったりな日本酒ですが、種類や価格もさまざまで「選ぶのが難しい」と感じる方も多いのではないでしょうか。 せっかく贈るなら喜んでほしいですし、目上の方に贈る際はマナーも気になりますよね。

みなさんの疑問や不安を解決できるように、日本酒の選び方や祝い事で贈るときのポイントを解説します。

お祝いごとで日本酒が喜ばれる理由

日本では古来からおめでたいことがあったときにお酒を「祝い酒」として一緒に飲んだり、相手に贈答する習慣がありました。その祝い酒として用いられてきたのが日本酒です。

また日本酒は日本の伝統的な主食である米で造られることから、神様にお供えするお酒である「御神酒」としても用いられる神聖なお酒という側面もあります。
そんな神聖でご利益のある日本酒は、大切な方への贈り物や門出を祝うプレゼントにぴったりです。

贈り物として日本酒を選ぶ際の3つのステップ

日本酒がお祝い事の贈り物にぴったりだということがわかったところで、さっそく本題に移りましょう。ここでは贈り相手にぴったりな日本酒を選ぶための基準をいくつか解説します。

相手の好みを調べる

まずは相手の好みを調べることが、やはり一番重要です。どんな銘柄を飲んでいるのか直接聞いてみるのもいいですが、サプライズで贈りたいならばSNSをチェックしてみたり、一緒に飲みに行く機会があれば注文するお酒をチェックしたりしてみましょう。

たとえば「純米大吟醸」や「純米吟醸」のようなお酒をよく飲んでいる方の場合、フルーティで華やかな香りのするお酒を好む傾向があります。お燗が好きそうであれば「お燗向き」のお酒になりますが、日本酒に詳しくない場合は探すのも大変ですよね。

これらの特徴は、ラベルに表示されている内容からある程度推測することもできます。ラベルの表示と味わいの関係はこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:日本酒のラベルを読み解く!記載されている数字や言葉の読み方を理解しよう

相手の好きな銘柄や味の好みがわかると、その方が普段飲んでいる銘柄以外でも好みにあった日本酒を選べます。選ぶのに不安がある場合は、日本酒を多く揃えている酒屋さんで、その銘柄に似たお酒などを選んでもらうのがおすすめです。地酒専門店だけでなく、最近では百貨店のお酒売り場でも、日本酒に詳しいスタッフが多いので、気軽に尋ねてみましょう。

相手の情報を得られなかった場合は「飲み比べセット」をプレゼントしましょう!さまざまな味わいや香りが一度に楽しめるので、お気に入りのお酒との新しい出会いがあるかもしれません。

相場の値段感やサイズ感を知る

日本酒のサイズは主に四合(720ml)、一升(1,800ml)で分けられます。

結婚や就職、新築など「これから『一生』その幸せが続いてほしい」という想いを込められるお祝い事には一生(いっしょう)にちなんで一升(いっしょう)瓶を選んでみるのも良いでしょう。日本酒のサイズからでもお祝いの気持ちを込めることができるのは素敵ですよね。

一方、あとで解説するように、特に冷蔵保管が必要なお酒の場合にはサイズの大きい一升瓶は邪魔になってしまうこともあります。また外出先で渡す場合は持ち帰るのも大変ですよね。相手の住環境や渡す状況を考慮して贈りましょう。

値段の相場は四合瓶の場合、こだわって造られている地酒でも1,500円〜2,000円前後で購入できるものが多いです。高級なものでは5,000円や10,000円を超えるものもあります。

身内や友人などへの気軽なプレゼントなら、1,500円〜2,000円前後の日本酒でも十分です。
5,000円以上になると高級なものになるので、誕生日や記念日など特別なシチュエーションに贈ると喜んでもらえますよ。
10,000円を超えるとかなり特別感が高いです。

※上記は全て四合瓶で考えたケースですので、一升瓶の場合は上記の倍の値段を想定してください。

ただし、お酒は「高ければ高いほど良いものである」というわけではありません。予算や相手の飲む量などにあわせて、お手頃価格の日本酒をいくつか贈るのもおすすめです。価格にとらわれず、相手の味わいや香りの好みや、このあとご紹介する工夫も考慮に入れてみてください。

一工夫で特別感を出す(お祝い事、出身地、年齢に合わせた日本酒)

値段以外にも日本酒の贈り物に特別感を出す方法はあります。今回は3つの工夫をお伝えしますので参考にしてみてください。

一つ目は「お祝い」を名前から感じられるお酒を選ぶことです。日本酒の中には「寿」「福」など縁起の良い名前がつけられているものがあります。お祝いのシーンに応じた名前を持つお酒を選んでみるのも良いでしょう。また、酒蔵によってはお祝い事に特化したお酒を作っている場合もあります。中には金箔で装飾されているものもあり、普段飲んでいる日本酒とは違う特別な日本酒として感じてもらえるでしょう。

二つ目は相手の出身地に合わせたお酒を選ぶことです。日本酒は日本全国が産地であり、産地によってその特徴が大きく異なります。相手のバックグラウンドを知らないと選べないものなので、贈られた方も「自分のために選んでくれたお酒」だと特別に感じてもらえるでしょう。

三つ目は相手の年齢、または祝い事での数字にちなんだお酒を選ぶことです。
日本酒はワインほどにはビンテージのお酒が多くないため、ピンポイントな年代のものが見つからない可能性もありますが、先ほどの出身地と同じで「自分のために選ばれたお酒」という特別感を演出できます。
たとえば成人式のお祝いとして20年ものの日本酒を選ぶと、とても粋な贈り物になるでしょう。

一方で熟成した日本酒は独特な風味を持つものが多く、こうしたお酒を飲み慣れていない方には好まれない場合もあります。熟成したお酒の風味がどれぐらい強いか、相手の好みに合いそうかどうかは売り場の店員さんに尋ねてみましょう

日本酒を選ぶ・贈る際に気をつける点

日本酒を選ぶ方法のイメージはできてきたでしょうか?今度は日本酒を選ぶ・贈る際に気を付けておきたいことや、最低限守りたいマナーが存在します。相手に喜んでもらうためにも、事前に学んでおきましょう。選ぶ・贈るそれぞれのシチュエーションに分けて紹介します。

選ぶ:日本酒の保存方法(冷蔵・常温)

選ぶときは日本酒の保存方法に注意しましょう。日本酒には冷蔵保存が必要なものとそうではないものがあります。特に冷蔵保存が必要な日本酒を選ぶ際にはサイズに注意が必要です。冷蔵する必要がある場合は四合サイズにするなど配慮をしましょう。

一升瓶ともなると1,800mlですから、冷蔵庫の中でも幅をとります。お酒好きの方なら大丈夫かもしれませんが、一人暮らし用の冷蔵庫ではそもそも入らない可能性もあります。

せっかく美味しい日本酒を選べても、かえって困らせてしまうケースもあるので気をつけましょう。

贈る:本数・熨斗(のし)の書き方

まずは日本酒の本数。祝いの席でよく選ばれる本数は2本です。こちらはお祝いの際には日本酒を角樽に入れて贈るという習慣から来たもので、2本の日本酒を縛ることでその角樽にシルエットを似せる役割があります。

ただし結婚のお祝いでは割り切れる偶数は好まれません。お祝いごとの贈り物には3本や5本、末広がりで縁起のよい「8」本がおすすめです。 対して「死(し)」を連想させる「4」本や「苦(く)」を連想させる「9」本は、縁起物としては避けた方が無難でしょう。 日本ではこのように数字からも想いを込めることができてしまうので、せっかくのお祝いごとで自分が想定しない受け取られ方をすることがないよう、気をつけてくださいね。

次は「のし」の書き方について紹介します。お祝いで贈る「のし」は、2種類を理解しておけば大丈夫です。

一つ目は「紅白蝶結び」です。こちらはすぐに結びめが解けることから何度お訪れても良いお祝い事に向いています。年間行事や、成長を祝うお祝い事にぴったりです。対して結婚など何度も来るべきではない時は失礼にあたります。

二つ目は「紅白結び切り」です。こちらは簡単に結び目が解けないため一度だけを願う意味が込められています。結婚のお祝いや快気祝いにぴったりですね。紅白紐の上にお祝いの内容、下に送り主の名前を書きます。どちらも紐にかぶらないように書いてください。

大切な方への日本酒を心を込めて選び、贈りましょう

今回は日本酒の選び方のポイント、そして押さえておくべきマナーについてご解説しました。

心が込められた贈り物はなんでも嬉しいものです。日本酒を選んだみなさんも、贈られた方も、笑顔で幸せな気持ちになれることを願っています。

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