2022.02
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「日本酒に本気で向き合いたい」元NMB48・高野祐衣が酒屋を開く理由とは
NMB48と吉本坂46で活躍していた高野祐衣さんが、日本酒専門の酒販店を開業します。元アイドルと酒屋、なかなかミスマッチな組み合わせですよね。日本酒に関わる仕事はたくさんある中で、なぜ酒屋を選んだのか。アイドルを辞めて開業するまでの経緯、どんな事業を目指していくのかについて、お話をうかがいました。
日本酒を本気で仕事にする
ーーー「ゆい酒店」の開業、おめでとうございます!日本酒がお好きなのは知っていましたが、商品のプロデュースやコラボではなく酒屋を開業されると知って少し驚きました。
高野さん:ありがとうございます!プロデュースやコラボも素敵だと思うんですが、私は「やるならとことん」なタイプなので、それだけでは納得できない気がしたんです。日本酒を本気で仕事にすると決めた以上は、タレント業の一環みたいな形ではなく、しっかり日本酒に関わりたかったので酒屋を開業しました。
ーーー日本酒にしっかり関われる職業は他にもありますが、その中で酒屋を選んだ理由は何でしょうか?
高野さん:日本酒の魅力を広めるために、たくさんの方がすでに行動しているなかで「私にできること、私だからできることってなんだろう」と考えて選びました。酒屋の運営と並行して日本酒タレントとしても活動して、新しい側面から日本酒業界を盛り上げていきたいです。ただ、今はゆい酒店の開業に向けてやることや勉強することが山積みで、タレント活動はセーブしています。ーーー唎酒師にSAKE DIPLOMAと、さまざまな日本酒の資格をお持ちですよね。日本酒業界への参入を見据えて取得されていたんですか?
高野さん:当時はまったく考えていませんでした。NMB48を卒業してから、タレント業に活かせる武器が欲しくて取得したんです。「自分が本当に好きなことや得意なことじゃないと頑張れないな」と思って、日本酒関連の資格にしました。仕事は仕事!って割り切れるタイプでもないので(笑)。
2018年に唎酒師の資格を取って、もっと知識を深めたくて2020年にSAKE DIPLOMAを取得しました。当時はまだ、SAKE DIPLOMAを持っている方が芸能界にいなさそうだったので、得意なことを活かしてお仕事ができたらいいなと思ったんです。
ーーータレント活動に活かすために資格を取得されたんですね。そこから酒屋の開業に至るには、どのような心境の変化があったんでしょうか?
高野さん:コロナの影響で家飲みの機会が増えて、酒屋さんに行く機会も増えたことが大きかったです。まだまだ知らない日本酒がたくさんあるなと改めて感じましたし、安くて美味しくて、新しい銘柄を飲むたびに発見や感動があって……。こんなに素晴らしいお酒なのに、魅力があまり知られていないのはもったいないと思い始めたんです。 「もっとちゃんと日本酒に携わりたい、もっとたくさんの人に日本酒を知ってほしい」という想いが、どんどん強くなっていきました。
ーーー高野さんが考える日本酒の魅力とは、どんなものでしょうか?
高野さん:とにかく美味しいところが魅力ですね!ふざけているわけじゃなくて、1,300円とか1,400円の価格帯で美味しいお酒がたくさんあるっていうのは、すごいことだと思うんです。しかも安いなりに美味しいんじゃなくて「これがこの値段で飲めていいの!?」と衝撃を受けるレベル。誰もが知っているような有名な日本酒じゃなくても、全体的にクオリティが高いんです。
日本酒にいいイメージがない方も、酒屋さんでお酒を買って飲んだら人生が変わると思います。安くて美味しくて、すごいお酒だってことをもっと広めていきたいと思って、ゆい酒店の開業を決めました。知ったうえで苦手なら仕方ないと思うんですけど、知らないだけなら本当にもったいないので。
日本酒の概念を変えた、運命の出会い
ーーー日本酒の良さを再認識したことが、開業のきっかけになったんですね。事務所を退所して会社を設立するのは、かなり勇気がいる決断でしたか?
高野さん:そうですね。お世話になった事務所を辞めるのは勇気がいりましたし、独立してやっていけるのか不安もありました。でも日本酒に本気で向き合うなら、中途半端なことはしたくなかったんです。覚悟を決めてからは早くて、事務所に辞めると報告した2ヶ月後に退所しました。
ーーー高野さんがここまで日本酒を好きになったきっかけを教えていただけますか?
高野さん:もともとお酒はなんでも飲めるタイプなので、ここまで好きになる前から日本酒も飲んでいたんです。和食が好きで、合わせるなら日本酒かなという感じで。でも日本酒が好きな新潟出身のスタッフさんとお仕事をするようになったり、ロケで新潟の酒蔵に行ったりするうちに、どんどん好きになっていきました。
美味しいお酒を飲む機会も増えましたし、酒蔵で酒づくりを見学させていただいたり、蔵人さんたちのお話をうかがったりするうちに「日本酒ってすごい!」と思うようになったんです。こんなに奥深いお酒だったのか!と、感動しました。
ーーー大きなきっかけがあって一気に好きになったというよりは、いろいろな経験をつうじて好きになっていったんですね。
高野さん:はじめはそうですね。そこから決定的に日本酒が好きになったのは、阿部酒造さんのお酒との出会いがきっかけでした。100種類以上の日本酒を置いている行きつけのお店が都内にあるんですが、そこで『あべ 純米大吟醸』に出会ったんです。
いわゆる甘旨ジューシー系で、私の好み過ぎて感動しました。その感動で一気に日本酒愛が深まりましたね。現在おこなっているクラウドファンディングのリターンになっているオリジナル日本酒は、阿部酒造さんと開発しています。
ーーー私も飲んでみたくて支援させていただきました!どんなお酒になりそうですか?
高野さん:ありがとうございます!阿部酒造さんならではの味わいを大切にしながら私の好みを反映させるために、方向性を探っているところです。阿部酒造の方たちと意見交換をさせていただいたり、可能な範囲で酒づくりに関わらせていただいたりしています。納得いく日本酒をつくるために頑張っているので、楽しみにしていてください!
ーーーとても楽しみです!味だけではなく、ラベルやボトルにもこだわっているんでしょうか?
高野さん:こだわりたい気持ちはあるんですけど、今はまだ何も決まっていないんです。でも阿部酒造さんのシンプルでわかりやすいデザインが好きなので、近い雰囲気になるのかな?と思っています。
國酒の魅力と感動を伝える場所づくり
ーーーゆい酒店のロゴデザインも、可愛いのにシンプルで素敵ですよね。
高野さん:ありがとうございます。「ゆい」の部分は、最初は漢字で「結」だったんです。リボンを結んだようなデザインも「結」をイメージしています。でも読みやすさとバランス、親しみやすさを考えて、ひらがなになりました。
ーーーご自身のお名前の漢字は考えなかったんですか?
高野さん:それはちょっと恥ずかしくてやめました(笑)。意味的にも「結」のほうが私の考えに合っているんです。日本酒と人の縁を結んで、感動を提供する場所にしていきたいと思っているので。リボンの形も屋根っぽくデザインしていただいて「場所」を表現しています。ーーーシンプルなデザインに、素晴らしい意味が込められているんですね。
高野さん:理想のお店を実現するために、日本酒の知識をもっと身につけていこうと考えています。味わいや香りの特徴、飲んだ感想をまとめた日本酒ノートは4冊になりました。他にも酒屋さんで接客の勉強をしたり、経営について学ばせていただいたりしています。
ーーーゆい酒店はオンライン酒販店としての開業ですが、接客について学んでいるということは実店舗も考えていらっしゃるんでしょうか?
高野さん:いつかは実店舗もつくって接客したいと考えています。ワンオペで回せるくらいの小さなお店が理想です。一人ひとりにきちんと向き合って、ニーズや好みにぴったりのお酒をおすすめしたいので。
ーーー高野さんご本人が接客されるんですか!? 人が殺到しそうですね。
高野さん:いやいや全然、そんなことないですよ(笑)。お客様が来てくださるか、不安しかないです。でも直接顔を見ながら、難しい言葉を使わずに日本酒の良さを伝えられたら素敵だなと思っています。
日本酒の専門用語や独特の表現って難しいものが多くて、私もはじめはよくわからなかったんです。せっかく日本酒に興味を持っていただいたのに、説明の段階で壁を感じさせてしまったらもったいないですよね。國酒である日本酒の魅力を、わかりやすい言葉でしっかり伝えていきたいです。
ーーーゆい酒店は、日本酒をもっと身近な存在にする場所になっていくんですね。
高野さん:オンラインでもオフラインでも、気軽に「飲んでみたい」を提供できる場所にしたいですね。ビールやワインみたいに、日本酒も食卓に並ぶのが当たり前のお酒になってほしいんです。価格も手頃ですし、どんな料理にも合うし、なにより美味しいので!ゆい酒店には、毎日でも飲みたくなるような日本酒を取り揃えたいです。
ーーークラウドファンディングのページには「女性杜氏や若手杜氏の日本酒を中心に取り扱う」と書いてありますが、どこの酒蔵のどんなお酒かは決まっているんでしょうか?
高野さん:扱わせていただきたいと思っている酒蔵さんはたくさんありますが、まだほとんど決まっていません。これから直接お話させていただいて、お願いしてまわる段階なんです。私が本当に美味しいと思ったお酒だけを揃えたいので、頑張ります!
ーーー高野さんが自分で営業や交渉もされるんですか?
高野さん:そうですね。私が阿部酒造さんのお酒で感動したような体験をお客様にもしてもらうために、できることはやっていきたいと思っています。有名じゃなくても美味しい日本酒はたくさんありますし、どのお酒が運命の出会いになるかわからないので、いろいろな味わいのお酒を取り揃えたいです。ーーー取引をする酒蔵は、どれくらいの数を想定していますか?
高野さん:お客様にたくさんの出会いを提供したい気持ちはありますが、はじめは多くても10蔵くらいが理想ですね。狭く深くお付き合いをして、信頼関係をしっかり構築したいと考えています。新規の酒販店で、しかも「元アイドルの酒屋」ですし、不安に感じる酒蔵さんも多いと思うので。
大切なお酒を卸してもいいと思ってもらえるように、本気度を行動で示していきます!
私だからできる方法で、日本酒を広めていく
ーーー日本酒業界において、どんな役割を担っていきたいと考えていますか?今後の展望や目標をお聞かせください。
高野さん:以前は日本酒が好きなことを武器にタレント活動をしていましたが、今後はタレントであることを武器にして日本酒に携わっていきたいです。私の知名度が高まれば、日本酒の知名度も高まると思うので、日本酒タレント=高野祐衣と認知していただけるように頑張ります!
あとは……日本酒からは少し離れますが、「元アイドル」のロールモデルになっていきたいです。アイドルを卒業したあとのセカンドキャリアに悩む方は多くて、私も迷走していた時期がありました。だからこそ「好きなことや得意なことを活かして努力すれば、アイドル時代よりも輝ける」って証明したいです。私の生き方を見て「自分も頑張ってみようかな」と思ってもらえたら嬉しいですね。そのための第一歩として、まずはクラウドファンディングを成功させたいです。
酒屋さんはたくさんありますし、日本酒が好きなタレントさんもたくさんいます。でも、掛け合わせて両方を仕事にしているのは、私しかいません。難しい挑戦なのはわかっていますが、新しい切り口で日本酒を広めていくために頑張ります。応援していただけたら嬉しいです!
高野祐衣さんが挑戦中のクラウドファンディングは3月6日まで!
オリジナル日本酒や、オリジナルおちょこなど、素敵なリターンがたくさんあります。すでに完売したプランもあるので、お早めにご支援ください!
高野祐衣さんのプロフィール
1993年12月6日生まれ、大阪府出身の28歳。アイドルグループNMB48を卒業後、唎酒師やSAKE DIPLOMAの資格を取得。2021年10月1日に芸能事務所を退所し、日本酒専門酒販店「ゆい酒店」を開業。日本酒タレントとしても活動している。
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