
2026.10
06
ペアリングとは、お酒などの飲みものと相性のよい料理を合わせること。お酒好きの食いしんぼうにとっては楽しいコンセプトで、近年は日本酒のペアリング専門店なども増えています。
でもこのペアリング、自分でやるのはちょっとめんどくさいんですよね。お酒を選ぶのも、お酒に合った料理を作るのも面倒な私のような人間は、お店でプロが選んでくれたお酒と作ってくれた料理を食べるべきなのでしょう。
それでも、家で日本酒を飲むとき、料理と気軽にペアリングしたい! そんな人間が、気軽に日本酒とおつまみの相性を体験できるようになるためにスタートした「日本酒ずぼらペアリング」シリーズ。
日本酒料理研究家・ももたそが、ス ーパーで買える日本酒での超カンタンペアリングを伝授してくれます!


ももたそさん、よろしくお願いします。今回お願いしたいのは、「獺祭 純米大吟醸45」に合うメニューです。
山口県岩国市の獺祭(2025年に社名が旭酒造から社名変更)が造る、世界的な人気銘柄です。獺祭は純米大吟醸しかつくらない酒蔵であり、かつて精米歩合50だった看板商品を2019年に45%にアップデートしました。
あまりの人気に入手困難になってしまったころもありましたが、プレミア価値をつけないために量産に力を入れた結果、近ごろはス ーパーなどでも手に入るようになりました。それでも、人海戦術ゆえの手作りなのがすごいですよね。

このシリーズでこれまで扱ってきたお酒とはだいぶ毛色が違いますね。いちばんの特徴はフルーティな吟醸香です。今回のペアリングは、その香りを活かしながら、足りない要素を料理で補う方向でいきます。

獺祭に足りない要素ってなんでしょう?

お酒に香りの良さがしっかりある分、料理側でリッチさやコク、旨味を補完してあげるんです。そうすると、お酒と料理を合わせた相乗効果で「高級感のある食事」をしているような感覚が味わえますよ!


1品目は和風クリームチーズです。クリームチーズに白だしとレモン汁を混ぜて、ブラックペッパーをかけるだけ。

火を使わなくていいのがうれしい。

この料理は混ぜ方が9割です。大事なのは、ムラを残すこと。

ムラをあえて残すんですね。あまり練りすぎないようにしよう。

クリームチーズに白だしを少しかけて、スプーンで軽くなじませる。少しとろっとしてきたら、最後にレモン汁をかけます。
(試食)

合う! クリームチーズが口の中に残ってるくらいでお酒を飲むと、すごくきれいになじみますね。

チーズのやわらかくなった部分と、まだ固形の部分と、レモンがきいている部分のグラデーションがポイントなんです。

グラデーションがお酒と時間差でいろんな重なり方をするのが、高級感の演出になってます。

ちなみにコレ、ちょっと老ねちゃった獺祭でも美味しくなります。

せっかく買ったお酒が老ねてたらショックだけど、ペアリングで救済できるのはありがたい!
「和風クリームチーズ」
材料
・クリームチーズ
・白だし
・ レモン汁
・ブラックペッパー
レシピ
1. クリームチーズを適当にちぎる
2. 白だしをほんの少し垂らし、スプーンで軽くなでるよう になじませる(完全に混ぜきらない)
3. 表面がとろっとしてきたら、レモン汁を2〜3滴たらす
4. ブラックペッパーをふる


2品目はにんじんラペです。塩で軽くもんだにんじんに、少しだけはちみつ(なければ砂糖)を加えます。最後にレモン汁で和えたら完成です。

またしても火を使わないのがうれしい。
(試食)

うま〜い。にんじんの甘味とフルーティさがいい感じにリンクしますね。

まさに、獺祭のフルーティーな香りに合わせたペアリングです。

おいしいんですけど、さっきのクリームチーズに比べるとインパクトに欠ける気も。

そこで、ホワイトペッパーを使います。
(試食)

おお。味の輪郭がはっきりして、ピッタリハマりました! これまでのペアリングを見てるとホワイトペッパーと山椒がよく出てきますけど、どっちも日本酒に合うんですね。どう使い分けてるんですか?

いい質問です! 前菜など、はじめのほうに出す料理にはホワイトペッパー、後半の料理に山椒を使うことが多いです。最初はみんななんでも食べるから、食べやすい味にしておく。後半は、少し抜け感のある香りを足して、「もう一口いきたくなる」流れをつくっています。

お酒を飲ませるための戦略だったとは……!
※ももたそは、割烹女将やゴエミヨ掲載店での経験を経て日本酒バーや日本酒専門店で店長を勤めていた凄腕料理人です。
「にんじんラペ」
材料
・にんじん
・塩
・はちみつ(なければ砂糖)
・レモン汁
・ホワイトペッパー
レシピ
1. にんじんを細切りにして、塩で軽くもんでしんなりさせる
2. 砂糖(または蜂蜜)を加える
3. レモン汁を加えて和える
4. ホワイトペッパーをふる

白状すると、本当はこの2つのレシピを混ぜて1品にするつもりだったんですよ。

確かに材料が似てる。

合わせるときも、雑に和えるだけで大丈夫です。

一緒に食べてもおいしい。別々でも立派なおつまみになるし、合わせたらさらに豪華ですね!

自分で作ってみてわかりましたが、調味料の量がテキトーでもいい感じになりました。しょっぱくなりすぎないように気をつけるだけ。火も使わなくていいし、獺祭ならではの新しいずぼらの境地を見つけられた気がします。

お酒が持っているものは活かして、持っていないものを料理で足す。獺祭なら香りは十分あるので、料理側はコクと旨味を担当する。この考え方は、ほかの吟醸系のお酒にもそのまま使えます。

ちょっとひねた獺祭を救済できる、というのも実用的でした。悲しいかな、量販店で買うとたまにあるんですよね……。

ずぼらペアリングシリーズ、これまで6品やってきましたが、ペアリングのハードルがグッと下がりました! スーパーで手に入る日本酒と材料でここまでずぼらに体験できるとは思わなかったなぁ。

ペアリングという言葉を敷居が高く感じてしまう人もいるかもしれませんが、コツさえつかめば意外と簡単にできるものなんですよ。これまで紹介したお酒に基礎が詰まってるので、ここから楽しみ方を広げていってみてください!
ずぼらペアリングシリーズ一覧はコチラ
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2021.10.27
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