実はアメリカは「日本酒イベント大国」だった - 487種類飲める大イベントから、生酒フェスまで

2026.10

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実はアメリカは「日本酒イベント大国」だった - 487種類飲める大イベントから、生酒フェスまで

KJ Sakura  |  アメリカでSAKEを飲む

2000年代のはじめから、世界各国で日本酒イベントが開かれるようになってきています。

10月1日の「日本酒の日」は海外でも「World Sake Day」として知られており、これに合わせて大規模なテイスティング・イベントが開催されるほか、それぞれの都市の文化と日本のカルチャーを融合させた、よりカジュアルなイベントもおこなわれています。

こうしたイベントは、世界中の日本酒ファンの関心を集めるだけでなく、日本酒にまだ触れたことのない消費者に出会いの機会を与えています。

その中でも多彩なイベントがおこなわれているのが、日本酒の輸出量が最も多い市場であるアメリカです。

この記事では、今日のアメリカにおける日本酒文化に貢献してきた主な日本酒イベントと、その担い手を紹介します。

Joy of Sake - ハワイ州ホノルル|2001年設立

Joy of Sakeのポスター

アメリカにおける日本酒イベントのパイオニアが、2001年にハワイ州ホノルルで始まった「Joy of Sake(ジョイ・オブ・サケ)」です。このイベントは、日本とアメリカの審査員が参加する日本酒の品評会「全米日本酒歓評会」の出品酒を、一般の消費者がテイスティングできる場として始まりました。

2026年の会場の様子

487種類もの日本酒が提供され、中にはアメリカで市販されていないものも含まれています。1杯あたりの量は10mlずつ。おかげで参加者は飲みすぎることなく、なるべく多くの種類の日本酒をテイスティングできます。15~20軒の地元レストランと提携しており、受賞酒に合う料理も提供されます。

非営利団体Joy of Sakeは美術館や慈善団体への支援にも力を入れており、毎年、選定した団体に資金を提供しています。アメリカの日本酒イベントを牽引する存在で、現在ではホノルルのほか、ニューヨークと東京でも毎年イベントを開催しています。

項目内容
開催地ハワイ州ホノルル(ニューヨーク・東京でも開催)
主催者非営利団体 Joy of Sake(創設者:Chris Pearce)/International Sake Association
開催時期夏(8月ごろ)
公式URLjoyofsake.com

SAKE DAY - カリフォルニア州サンフランシスコ|2004年設立

SAKE DAYのポスター

毎年10月1日の「日本酒の日(World Sake Day)」には、日本酒を愛する人々が、世界各地で一斉に乾杯します。日本酒の日とは、1978年に日本酒造組合中央会によって制定された記念日で、寒造りをおこなう酒蔵にとって酒造シーズンが始まる時期にあたることからこの日が選ばれました。

このコンセプトをアメリカでさらに発展させたのが、酒販店「True Sake」オーナーのボー・ティムケンです。彼は、日本酒の普及・啓発という共通の目的のために、業界全体が協力することを目指して、2004年にSAKE DAYというイベントを開始しました。現在ではアメリカ最大級の日本酒の年次イベントの一つとなり、全米各地で日本酒イベントが広がるきっかけにもなっています。

 SAKE DAY会場の様子

イベントは、北カリフォルニア日本文化コミュニティセンター(JCCCNC)との協力で開催されており、収益はすべて同団体に寄付されます。出展者からはテーブル代を徴収しないことも、飲料業界のイベントとしては珍しいところです。

毎年10月1日に最も近い土曜日に4時間にわたって開催され、日本や全米、世界から集まった300種類以上の日本酒を試飲することができます。

項目内容
開催地カリフォルニア州サンフランシスコ
主催者True Sake/JCCCNCと共催
開催時期10月1日に最も近い土曜日
公式URLsakeday.com

SAKE DAY EAST - マサチューセッツ州ボストン|2021年設立

SAKE DAY EASTのポスター

マサチューセッツ州ボストンで毎年開催されているSAKE DAY EASTは、ワインと日本酒の教育者であり、エミー賞受賞歴のあるテレビディレクターでもあるマリナ・ジョルダーノが2021年に立ち上げました。

イベントでは、日本とアメリカから集まった100種類以上の日本酒を自由に試飲できるテイスティングをはじめ、ガイド付きのマスタークラス、VIPアワー、少人数制のガイド付きテイスティング、ジャズ・カルテットの演奏などがおこなわれます。日本の陶芸家や生花など、地元のアーティストや職人によるパフォーマンスもあります。

マリナは、カナダ・トロントのKanpai TorontoやサンフランシスコのSAKE DAYなどのイベントに参加した経験から、日本酒の日のコンセプトをボストンにも広げたいと考えるようになりました。イベントの開催を通じて、より多くの人に日本酒の魅力を知ってもらい、地域の日本酒市場の成長につなげるとともに、ボストンでより多様な日本酒を楽しめるようになることが期待されています。

項目内容
開催地マサチューセッツ州ボストン
主催者マリナ・ジョルダーノ(エグゼクティブ・ディレクター)
開催時期10月初旬の土曜
公式URLsakedayeast.com

Fuyu Fest - オレゴン州ポートランド|2023年設立

Photo credit: 2025 - Carter Hiyama
Photo credit: 2025 - Carter Hiyama

Fuyu Festは、オレゴン州ポートランドで日本酒バー兼酒販店「Sunflower Sake」を営むニーナ・マーフィーが主催しています。ポートランドのセントラル・イーストサイドにある会場「The Redd on Salmon」で毎年開催される、太平洋岸北西部を代表する日本酒フェスティバルです。

Fuyu Festは、ポートランドで約10年にわたって開催されたSake Fest PDXが2019年に終了したあと、2023年に始まりました。冬に開催される地域密着型の日本酒フェスティバルで、日本酒を中心に、世界各地のSAKEや地元アーティストも参加します。

日本酒の試飲や市場に加え、燗酒のデモンストレーション、地元のフードベンダーや職人、スペシャルティコーヒー、さらには日本酒をテーマにしたネイルアートなど、毎年さまざまな企画が展開されています。地元アーティストがフェスティバルのポスターや記念の手作り盃のデザインを手がけているのも注目です。

ポートランドを日本酒愛好家が訪れる街にすることに力を入れるニーナにとって、Fuyu Festは重要な活動のひとつです。小さな日本酒専門店として、酒蔵とのつながりやホスピタリティを生かし、初心者からファンまで幅広い人々にその魅力を伝えています。

Sunflower Sakeは有名ブランドを紹介する一方で、新たな造り手を支援することにも力を入れています。こうした新しい造り手が、日本市場とは異なる重要なアメリカ市場で足場を築いていく姿を見られることも大きな意味を持っています。

サンフランシスコのSAKE DAYにならい、Fuyu Festではチケット収益の20%を、ポートランド在住の日本人高齢者を対象としたコミュニティを運営する「憩いの会」に寄付しています。

項目内容
開催地オレゴン州ポートランド(The Redd on Salmon)
主催者Sunflower Sake
開催時期冬(1〜2月)
公式URLfuyufest.org

NamaFest - カリフォルニア州オークランド|2024年設立

NamaFestのポスター

NamaFestは、ヨーコ・クマノとカヨコ・アカボリが創業した「Umami Mart」が主催するイベントです。Umami Martは、センスの光る生活雑貨や、テイスティングバーでも楽しめる幅広い日本酒・焼酎のラインナップが評価されており、経営者の二人は『Everyday Sake』の著者としても知られています。

定期的に開催されるイベントも同店の魅力の一つで、ベイエリアの日本酒コミュニティに注目され、サンフランシスコから橋を渡ってオークランドまで足を運ぶ人も多くいます。

NamaFestは、春に開催される生酒の祭典です。生酒とは、火入れによる加熱処理を行っていない日本酒のこと。2000年代初頭から、アメリカの日本酒事業者たちは、国内市場で多くの生酒を取り扱えるよう働きかけてきましたが、こうした動きが徐々に広がり、約20年を経て、生酒に特化したフェスティバルが開催されるまでになりました。

Umami Martのイベントの多くは、店内スペースと裏手にある屋外スペースを活用して開催されます。NamaFestでは、地元と日本から集まった40種類以上の生酒のほか、ポップアップ・シェフの「Casa dei Kei」による料理や、地元のDJによる音楽が楽しめます。

毎年開催されるアニバーサリーイベントから、近年新たに始まったShochu Liveまで、Umami Martでは日本産酒類を紹介する多彩なイベントをおこなっています。

項目内容
開催地カリフォルニア州オークランド
主催者Umami Mart
開催時期春(4月)
公式URLumamimart.com

American Craft Sake Fest - ノースカロライナ州アッシュビル|2019年設立

American Craft Sake Festのポスター

The American Craft Sake Festは、アメリカで造られるSAKEに焦点を当てたイベントとして始まりました。当初はBen’s American Sake Breweryが主催していましたが、その後規模を拡大し、アメリカのSAKE醸造家コミュニティである北米酒造組合(Sake Brewers Association of North America)と協力して開催されています。

現在では、日本を含む各国の酒蔵から100種類以上の日本酒が出品されています。イベントでは、SAKEのセミナーや料理のペアリング、マグロの解体ショー、DJによるパフォーマンスなどが行われます。

ノースカロライナ州で始まったこのフェスティバルは、2024年と2025年には、アーカンソー州ホットスプリングスのOrigami Sakeが2年間にわたって開催を担当しました。2026年は、ロサンゼルスのSawtelle Japantownにある屋外ルーフトップ会場、Lumen West LAで、Sawtelle Sake、Story Boldy、Yama Sushi Marketplaceが主催しました。

項目内容
開催地アメリカ国内(ホストにより変動)
主催者SBANA(北米日本酒醸造者協会)と共催
開催時期ホストにより変動
公式URLcraftsakefest.com

その他のイベント

左からSan Diego Sake Festival、Long Beach Sake Day、Sake Day Brooklynのロゴ

San Diego Sake Festival - カリフォルニア州サンディエゴ|2017年設立

San Diego Sake ClubがJETROロサンゼルスと協力して毎年開催するイベント。数百種類の日本酒を試飲できるほか、日本酒と料理のペアリングについての案内や、イベントの開催を記念した鏡開きも行われます。

項目内容
開催地カリフォルニア州サンディエゴ
主催者San Diego Sake Club/ジェトロ・ロサンゼルスと連携
開催時期秋(9月下旬〜)
公式URLsandiegosakeclub.com

Long Beach Sake Day - カリフォルニア州ロングビーチ|2023年設立

小売店Sake Secretのグレッグ・ベックが主催する、南カリフォルニアの屋外イベント。歴史あるランチョ・ロス・セリトスの敷地で、100種類以上の日本酒を楽しむことができます。鏡開きのセレモニーのほか、酒蔵の造り手との交流や、さまざまな日本のストリートフードも楽しめます。

項目内容
開催地カリフォルニア州ロングビーチ
主催者Sake Secret(Greg Beck)+ Craft Beer LB
開催時期10月ごろ
公式URLsakesecret.com

Sake Day Brooklyn - ニューヨーク州ブルックリン|2024年設立

ニューヨーク市初のSAKE醸造所であるBrooklyn Kuraが主催。50以上の酒蔵の日本酒やSAKEを試飲できるほか、醸造所の見学ツアー、DJによる音楽、抽選会などが行われます。抽選会の景品には、同醸造所のSake Studies Centerで開催される日本酒講座も含まれています。

項目内容
開催地ニューヨーク州ブルックリン
主催者Brooklyn Kura
開催時期10月初旬
公式URLbrooklynkura.com

まとめ

日本酒イベントの数と規模の拡大は、このお酒や文化への世界的な関心の高まりを示しています。イベントを通して異なる国や文化的背景を持つ人々が交流することで、その周囲のコミュニティと新たなつながりが生まれ、現地のSAKEカルチャーへの成長へとつながっていくことでしょう。

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